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「……なんだそれは」


毎度のことながらこの軍医の考えることは分からない。
ブレークダウンは鏡の前ではしゃぐノックアウトを見てどう反応すべきかとブレインサーキットをフル稼働させる。


「何って猫耳だけど?」


そう、鏡に映る自分の姿を見て「さすが私…!」なんて自画自賛を続けるノックアウトの頭には猫のような耳が生えていた。
生えているというよりも、溶接されているといったところか。
そこではた、と思い当ったブレークダウンは恐る恐る問いかけた。


「それ…まさか自分でつけたのか…?」

「うん、ちゃんと神経も通ってるよ」


あっけらかんと言い放つノックアウトにこいつこそリペアが必要なんじゃないかと思う。
そんなブレークダウンをおかまいなしに1人舞い上がっているノックアウトは嬉々として説明を始める。


「ちょっと新しい兵器でも開発しようとしたらなぜかこんなものが出来上がっちゃってね、まあ可愛いしよく似合ってるからいいかなって」

「どうやったらそんなもん出来上がるんだ…」

「まぁ聞けよ。猫耳ついでに尻尾も作ってみたんだ、ほら」


差し出されたノックアウトの手には彼の機体と同じく赤くカラーリングされた尻尾があった。
ブレークダウンはじゃあそれも着ければいいだろう、と言いかけてハッとした。
接続部分であろう先端部がなぜかいわゆる大人の玩具に見える。


「ね、ブレーク、私とにゃんにゃんしない?」


どんな誘い文句だ、と呆れつつもノックアウトの手で悪戯に弄ばれている尻尾を受け取った。





***





「うっ、あっ…ブレェ、ク、ひぁっ」


リペア台に座るブレークダウンの膝に跨ったノックアウトは、受容器を出入りする尻尾にひっきりなしに甘い声を漏らす。
ブレークダウンは緩急をつけつつノックアウトの弱点に当たるよう抜き差ししながら、自分にしがみついてくる細い機体を抱きしめた。
少し手を休めると、ノックアウトの肩越しに彼の下半身を見る。


(なるほど…確かに尻尾が生えてるみたいだな)


視界にちらつく猫耳といい、よく似合ってるとブレークダウンは笑う。
それに目敏く気が付いたノックアウトはブレークダウンの顔を包むと口を尖らせた。


「なに、んっ…わらっ…てん、の、」

「ん、猫みたいだなって」

「……にゃあって鳴いてやろうか?」


蕩けた目で厭らしく笑うと、すっかり主張しているブレークダウンのコネクタに腰を摺り寄せる。
散々目の前で痴態を見せつけられた挙句そんなことをされればもう我慢ができない。
元々この軍医は我慢させる気もないんだろう。
ノックアウトの腰を持ち上げてコネクタの先を宛がうと、さっきまでにやにやとしていた表情が一変する。


「えっ、あれ、ちょっと?」

「なんだよ、こんな細いのじゃ満足できないから早く挿れろってことだろ?」

「それはそうだけど、だってまだ尻尾、っひ、あ、あああああああ!!!??」


焦るノックアウトの抗議の声を無視して、未だ尻尾の刺さる受容器の隙間に太いコネクタをねじ込んだ。
ただでさえノックアウトにとってブレークダウンのコネクタは体格差のせいもあり凶器染みているのに、更にバイブまで挿れられてはたまらない。
処理が追い付かないのかノックアウトは目と口を大きく開いたまま排気を繰り返す。
ブレークダウンはさすがにまずかったか、と思いノックアウトの顔を覗き込む。


「お、おい…大丈夫か?」

「っあ……はっ…は、ば…ばかじゃ、ないっ……の…っ」


途切れ途切れになんとか言葉を紡ぎブレークダウンを睨み付け、先ほどよりも密着した機体にギリッと爪を立てる。
ブレークダウンはそんなノックアウトに苦笑すると、今すぐ突き上げたい衝動を抑え込みながら優しく背中を撫でた。
ショート寸前だったんだぞ、と文句を言いつつも大人しくされるがままになるノックアウト。
暫くそのままじっとしていたが、だんだん慣れてくると受容器を押し広げられているだけの状態にもどかしさを感じる。
ノックアウトは緩々と腰を動かし始めた。


「ん…っ、ブレーク、ダウンッ……あ、ああ…っ」

「え、ちょ、くっ…ま、待てって、」


慌てて止めようとするブレークダウンだったが、いつもより数段きついノックアウトの中が絡みついて離さない。
我慢の限界だったこともありろくな抵抗もできず、その間もノックアウトは動き続ける。
震える機体を懸命に動かしてどうにか快感を得ようとするノックアウトに、自然とブレークダウンの熱も上がる。
ブレークダウンは苦々しく舌打ちすると細い腰を掴んだ。


「どうなっても知らねえから、なッ!!」

「ぅあ!!!?あ、やッ…はっ、はげ、し…っ!ん、あっ」


突然奥を激しく突き上げられたノックアウトはブレークダウンに縋り付いた。
そのまま目の前にあるブレークダウンの口元に顔を寄せキスをねだる。
ブレークダウンは器用に突き上げることをやめないままその要望に応えた。


「んっ、んむ、う、あっ、ふ…」

「っは、ノックアウト…ッ」

「ん…あ…ッ、だめ…ぬけ、るっ…あんっ、ふぁ…」


激しい抜き差しのせいで抜けそうになっていた尻尾を押し戻すノックアウト。
ぐちゅ、と潤滑オイルに溢れた受容器から卑猥な音がなる。


(ったくどこまでも淫乱だな…)


そんなノックアウトを愛しそうに見ていたブレークダウンの目に、ノックアウトの猫耳がちらつく。
そういえば、と思い出しそっと耳を掴んだ。


「んぅ、んっ、あ…なに…?」

「いや…これ神経通ってんだろ…?」

「そ、だけど…ん、ふぅっ…性、感帯じゃ…ない、から…っ、もうっ!早くうご、け…っ!」


ふにふにと触っていると緩慢になっていた動きに痺れを切らしたのかノックアウトが怒鳴る。
冷却水も溜めた目では迫力も何もないが。
なだめるように耳や頭を触り続けると、性感帯ではなくとも気持ちはいいらしい。
ノックアウトの中で早く昇り詰めたい気持ちと、このまま心地良く撫でられていたい気持ちが葛藤する。
もう正常に働かないブレインにブレークダウンの声が響く。


「なぁ……にゃあって鳴いてくれねぇか?」

「……は?」

「お前さっき言ったろ、にゃあって鳴いてやろうかって」


にやり、と笑うブレークダウンを見て存外乗り気だったんじゃないか、とノックアウトもにやける。
ノックアウトは嬉しそうに身を摺り寄せると、とろんと溶けた目を細めて一声鳴いた。


「にゃあ」


これで満足かと聞こうとしたノックアウトだったが、ドクンと自分の中で脈打ったコネクタに遮られる。


「わ、悪い、我慢できねぇ…っ!」

「へ、ちょ、まさ、か、あッ!ひゃ、う、みゃあああ!!!??」

「くっ…!」


ノックアウトの厭らしい声がツボだったらしいブレークダウンは、あろうことかたった一鳴きで絶頂に達しノックアウトの中に濃いオイルをぶちまけた。
バイブが入っている分拡張された受容器からドロリ、とオイルがこぼれる。
まさかこんなことでイってしまうと思っていなかったノックアウトはギッと睨み付けた。


「ああもう、私まだイってないのに!信じらんない!」

「だ、だから悪いって、」


ぷりぷりと怒り出すノックアウトに、自分でもこんなに情けないことになるとは思っていなかったブレークダウンは反論できない。
緩くなった受容器からオイルと一緒にバイブが抜け落ちた。
無残に床に転がる尻尾にノックアウトが目を細め、どうしてくれるんだとブレークダウンに向き直る。
ブレークダウンはノックアウトの未だに潤んだ瞳と上気した機体にまたコネクタに熱が集まるのを感じた。
ノックアウトがぴくり、と震える。


「……そんなによかった?」

「お、おう」

「…じゃあ、もっとにゃあにゃあ鳴いてあげるから、もっと犯して…?」

「っ!!……お安い御用、だっ!」

「ああんっ!っふ、あ…にゃ、んぅ…ブレェクゥ…ッ!」


元々1回で終わる気があったのか疑わしいが。
再び突き上げつつ、これ以上鳴かれたらたまらないブレークダウンはとにかくキスで塞ごう、そうしよう、とブレインの片隅で誓った。










(で、何で猫だったんだ?)

(2月22日はにゃんにゃんの日といって猫プレイをする日らしい)

(……ってことは…あと1年待たなきゃいけないのか…!?)

((ああ、ハマったのか…))


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