TF_dream | ナノ



真夜中。
聞き慣れたエンジン音が聞こえたような気がしてぼんやりと目を開ける。
布団から手を伸ばして時計をつかむと働かない頭で時刻を確認する。


「……3時」


名前は忌々しげに窓へと目を向けた。
車のヘッドライトがカーテン越しに光っている。
渋々ベッドから降りると勢いよくカーテンを開いた。
真っ暗な庭に溶け込むように1台のパトカーが停まっている。


「……何の用よ、バリケード」


ぼそりと呟いた言葉だったがしっかりと聞こえていたようで、名前の部屋に向いていた車体が少し揺れる。
降りてこい、と言っているようだ。


(行かなかったらまたトランスフォームされそうだな…)


なんて面倒な奴なんだ、と思いながら庭に出てガレージを開けると大人しく中に入って行った。
なかなかロボットモードにならないな、と思っていると助手席のドアが開く。


(…乗らなくても会話できるのに)


パトカーに乗り込むのはいつになっても慣れない。
ドアを閉めながら不機嫌そうに質問する。


「それで?」

「特に用はない」


すぐさま切り替えされた言葉に閉じたドアを再度開こうとした名前だが、それよりも先にロックされてしまった。
どこに目があるのか分からないためとりあえずフロントガラスを睨み付ける。
そのまま暫く沈黙が続く。


(なにこいつ…ほんとに何しに来たのよ…)


お互い沈黙を貫いていると、名前は忘れていた眠気に襲われ始めた。
程よく効いた暖房と包み込むようなシートが心地良く、あと少しで意識が遠のく寸でのところでバリケードの低い声が響く。


「明日も早いのか」

「ん…明日は休みよ…」


朦朧とする頭でなんとか答えると少し揺れる。


(あ…嬉しい時の反応だ…)


気付かれないように(おそらく気付かれているけど)小さく微笑むとそっとハンドルを撫でた。










(明日はずっとガレージで過ごしてあげる)

(……ふん)


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