「瞳先生、貴方にはお礼をしたい」

「善吉を産んでくれて、育ててくれて。私と出会わせてくれてありがとうございました」
「本当に、瞳先生には感謝してもし切れない――・・・・・・」
「めだかちゃん」

ふわり、と。
風に白衣が舞い、小さな腕が私を抱きしめる。
その温もりはあの日から私をずっと支え続けて来たものと、良く似ていた。

「瞳先生、だなんて他人行儀な呼び方はよしなさい。貴方のことは今までだって実の娘みたいに育てて来たし、今日から本当の娘になるんだから!」

その温度が、優しさが、善吉という人間を作り上げたのだろう。
託児所で一人で遊んでいた善吉が愛を知らない子供にならなかったのはこの人の愛あってこそなのだ。
尊い。愛おしい。大好きだ。キスしてしまいたい。
その気持ちをぐっと堪えて、私は笑って見せた。

「ああ、お母さん」

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