ほんのりべーさく (
0)1006 23:10
「どうしたんですか、ベルゼブブさん」
事務所の接客用のソファで休憩していた佐隈はそう聞いた。飲みかけのココアを机に置いて、そっと後ろを覗き込む。覗き込んだ先にいたベルゼブブは、その手で佐隈に抱き着いていた。
「どうもしていませんよ、さくまさん。強いて言うならばこうしたい気分だったんです」
「それがどうかしてると思うんですが…それに、くちばしが当たって痛いです」
少しとがったくちばしが背中にあたって地味に痛い。けれど、ベルゼブブは丸くてふわふわとしていて、くちばしを除けば気持ちが良かった。
それに気を良くした佐隈はベルゼブブの頭を撫でながら言う。
「まあ、いいです。ベルゼブブさんにはいつもお世話になってますし」
「ありがとうございます、さくまさん」
頭を撫でられて気持ちが良いのか、ベルゼブブは目を細くした。佐隈の前にまわって膝の上に乗る。そして今度は、お腹の辺りを抱きしめた。
「それじゃあ、ちょっとこのままで、私の話を聞いてくれませんか」