堀宮/140文字以内×3/お題林檎 (0)
1003 22:03


艶やかな赤い皮は彼女の手によって滑らかに削ぎ落とされ、地味な黄色がかかった薄いクリーム色が現れた。すぱん、と縦に割ると果肉と種の間にはたっぷりと蜜が詰まっていて、思わず手を伸ばすと待ちなさいよと叱られた。同時に手を伸ばした灰色の男は構わず林檎を口に入れ、茶髪が舞い、包丁が飛んだ。


彼女が跳ねる度ぴょこぴょことピンクのツインテールが揺れる。クワガタみたいだなんて揶揄もしたが実を言うと俺は彼女のこの髪型が大好きだった。俺を呼ぶ声に二つ返事で答えると頬がぷっくら膨らんだ。林檎みたいだと言うと鏡を渡され、レッドホットチキンと笑顔で言われた。少し泣いた。


気の利きすぎる使用人がわざわざ温め直してくれたらしい今日のケーキは、甘い林檎が蕩けるように美味しかった。ダルダルになった彼女の袖にパイ生地が付いてついでに床に食べかすが落ちて、綺麗にしてやるとふんぞり返った彼女はそのままソファごと後ろに倒れ込んだ。ああ、めんどくせぇ。


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