2 鮮やかなライトが屋台を彩る、辺りは香ばしい匂いに自然と食欲が湧き上がる、イカ祭りと題してほぼイカの屋台で犇いていた。神社にてお参りを済ませ竜ヶ崎くんがイカ掴み大会に出場したり、江ちゃんに会ったり、イカ焼きを食べたり、お祭りを満喫していたのは数分前、私は人集りの中一人辺りを見渡しているのだった。 『うわーーんデジャブだよー!』 ああ、数か月前にこんなことあったな…。前にも私がはぐれちゃって皆に迷惑かけちゃったなぁ。こういうときに限って携帯は真琴の家に置いていってしまってみんなと連絡が取れない状態になってしまった。こんなに人がいる中でむやみに動いてもすれ違いがおこるかもしれない。…私の陰が薄くなければ誰かしら私が居なくなったの気づくかハズだもん。座れるとこで待とう どうしよう、と思っていると急に腕を引っ張られたのに驚き反射的に相手を見れば血相を変えた凛がいた 『…凛ッ』 「お…まえ、なんでこんなとこに一人でいんだ!」 いきなり怒鳴られ私の身体はビクリと揺れた。 『あ…ハル達とお祭りに来たんだけどね、はぐれちゃった』 「…またかよ」 『えへへ。でもまた凛が来てくれたね』 “嬉しいよ” 「―――…ッ!」 純粋に微笑む秋羅に凛は顔を歪めた。 凛はグッと私の腕を掴み睨んだ。それに私は今までに凛に感じたことがない恐怖を感じた 「…秋羅がいない」 「「え!?」」 さっきまでいたはずの秋羅が目を離したすきにいなくなっていた。あいつは小さいし軽いからこの人波に流れて行ったのかもしれない。そう考えると怪我はしてないかどうかとても心配だ。 怜もさっき居たが知り合いに会ったとかでいなくなった。 「ど、どどーしよう!」 「とりあえず手分けして探そう」 ((〜♪)) 渚の携帯が鳴りだした。さっきからなにやらコソコソしているようなのが気になる。もしかしたら秋羅からの連絡かもしれない (え?!あきちゃんと凛ちゃんが!?ど、どうしよう…) 「渚?どうかした?」 「う、ううん!なんか怜ちゃんから連絡あってさっきあきちゃんと会ったんだって!だから少し待ってれば会える、かも〜」 若干目を泳がしていた渚だがなんとか二人を納得させたようだった 『凛、凛ってば、どうしたの?』 問いかける私にこたえることなく黙って腕を引っ張り前を歩く凛の背中がとても怖く感じた。なんでこんなに不機嫌なんだろう、凛のこと知りたいと思ったのになにも知ることができない。わからない。 凛は私をフェンスに押し付けて逃げられないようにした 『――ッ、』 「…結局お前は、自分のことしか考えてねぇんだろ」 『え?』 「オレのこと知りたいっつったのも、お前が勝手にリレーにエントリーしたのも、全部、ハルのためだろっつってんだよ!!」 『(ビクッ』 ガシャンッとフェンスに拳をつく凛に私は大きく肩を揺らした。怖かった。涙があふれそうなのを必死に抑えた 『…違うよ』 「ああ…?」 『凛のこと知りたいって思ったのは、本当だよ。誰のためでもない、私がただ凛のことを知りたいから思っただけなんだ。たしかにリレーは勝手にエントリーしちゃったけどそれはまた…みんなが…』 「だからそれはお前が見たいがためにやっただけのわがままだろ!お前はあいつらのことばっか考えて俺のことなんか…俺のことなんて応援してねぇんだろ!なぁ!」 『そんなこと…!』 なんで、なんでそんな切ない、泣きそうな顔してるの、凛 『そんなことないよ、だって凛のこと大事な友達だもん。大好きだもん、そんな大好きな友達の夢を応援しないわけないじゃんか……っ』 ついに私の目から涙が零れ落ちた。泣いてる姿なんて見せれなくて私は顔を下に向けた。凛は小さく舌打ちをした。ああ、もっと近づけると思った。結局口だけの女だと思われただろうか、凛に嫌われたくない、凛をただ理解したかっただけなのに 「何をしてるんですかっ」 その時隣から声がして反射的に私も凛も向いた。そこには息を切らしたようすの怜くんが立っていた。怜くんは私を見たあと凛を睨んだ 「…秋羅」 『…』 「もうお前のめんどうみてやれねぇから…」 『!、り―ッ』 凛は振り返ることなく去って行った。怜くんが駆け寄り大丈夫ですか!?と顔を覗き込んだ 『大丈夫』 「でも…っ」 『ごめんね、迷惑かけて…あ!私迷子になってたんだった!はやく会わないとハル達も心配してるよね』 「あきさん…」 『あ、怜くん。私が泣いたこと、内緒だよ』 秋羅は眉を下げて笑った。すると怜くんは渋々と言った感じで私の言葉を受け入れ、分かったと頷いた。それから怜くんに連れられてみんなと合流した、心配をかけてしまい渚には泣きながら抱きつかれハルと真琴には怒られてしまったが、安心できた。 |