「あき、おはよう。朝早いのに頑張ったね」
「おはよう」

『ふぁ…おはよう』

ずるずると重い荷物をひっぱりながらいつもの待ち合わせ場所に行けばそこにはすでに真琴とハルがいた。いつもよりずいぶん早い待ち合わせに私はあくびが止まらない。よしよし、寝坊しなかったねと褒めながら頭を撫でてくれる真琴にさらに眠くなってくる。

そして船の近くに行けば私たちの名前を元気よくよぶ渚の声が聞こえてきた

「おはようございまーす!」
「おはようございます」

「おはよう」
「おはよ」
『…おはよ〜』

「あっれーあきちゃん眠そうー!」
『…遅刻常習犯の私がよくこの時間に起きれたなって感じだよ。ふぁ…眠い』

えー楽しみすぎて眠気なんてすっとんじゃったよーー!!と言いながらぴょんぴょん跳ねる渚に私は眉間にしわを寄せた。寝起きにこのテンションは辛い。すごい。もうある意味尊敬する。渚のそのパワー半分ぐらい欲しい

「これで全員そろったか?」
「天方先生がまだです」

すると私たちの隣をぴんく色の車が横切った。中から出てきたのは可愛らしいワンピースを着たあまちゃんの姿が。今から合宿行くというのは少々似つかない恰好と思える…。みんななんだなんだと目を見開いて口も開いていた


そんなこんなで乗る船。はじめての船にテンションあがりっぱなしの私と渚とコウはとにかく騒がしく話したりジャンプしたりしていた。約30分ぐらいでついた島の海は底が透けて見えるほどとてもきれいだった。笹部コーチはまた迎えにくるからなーと差し入れを置いて帰って行った

『差し入れってなんだろ』
「さあ……ピザ」
『重いね。こっちは?』
「えっと…」「鯖だ」
『島にも鯖持ってきたんだ…』

「みなさーん!ちょっと来てください!」

お手洗いにいっていた怜くんが慌てた様子で走って帰ってきた。それに私たちは首をかしげて怜くんについていった。しばらくの森を抜けて怜くんについていくとそこにはスポーツ施設があり、水泳部かなにかがプールを泳いでいた。よく見ると黒いジャージを羽織った見覚えのある人達がいた

「なんでここに鮫柄水泳部が…」
「あ、凛ちゃんもいる!」

もしかしてまたコウが?とみんなコウに視線を向けるが本人は今回は本当に知らなくてたまたまだという。それに嘘をついてる素振りもないし私たちは納得した。渚が嬉しそうに会いに行こうとはしゃぐがそれをハルが珍しく止めた。



テントに戻りみんながテントの準備をしていると渚が口を開いた

「いいなあ、50mプール〜」
「やっぱり強豪校にもなるとすごいのねぇ」
「格差を感じますね」
「…かんけいない」
「ハルの言うとおり、今回の俺達の合宿目的はあくまで持久力を付けること」
「そうだった!僕たちは無人島がある!!」

「…さてと、私たちは一回宿にチェックインしましょうか」
『「はいっ!」』

4人には思いがけない言葉なのか、声をそろえて「やど!?」と言った

「それはどういう…」
「私たちは民宿を取ったの。だって女の子が野宿なんて…ねぇ?江ちゃん、秋羅ちゃん?」
『「ね〜?」』

「えー!あきちゃんも行くのー!?」

『私だって女の子ですから』

「せっかく一緒のテントで寝れるかもって楽しみにしてたのにー!ね?ハルちゃんもマコちゃんも怜ちゃんも楽しみにしてたよね?」

「ああ」「えっと…ってえ!?」
「いえあの…僕は、え!?」

『ええ!?えぇ〜』

こんなに言われてしまったら私は断れない。それを知ってか知らずか渚は私の手を握り少し屈んで上目使いで訴えてくる。…これは確信犯以外の何物でもない…。しかもあのハルが、ああって…ああって!!!コウに助けを求め目で訴えるが苦笑いしか返ってこなかった。私はひとつため息をついて口を開いた

『…わかったよ』
「やったー!!ボクあきちゃんと寝るー!」
「秋羅ちゃん本当にいいの?」
『しょうがないです。良いですよ!テントもテントで楽しそうだし』
「そっか、気を付けてね!秋羅ちゃん」



そんなこんなでさっそく遠泳をはじめるという4人。私は砂場に座ってみんなを見送ると途中であまちゃんとコウが来て迎える。コウにはい、と渡されたのはデジタルカメラ。これで思い出を撮ってほしいという

『いいなあ…私も水着持って来ればよかった』
「そのまま服でもいいじゃない!えいっ」

そう言ってコウは私に水をかけてきた。いきなりでびっくりはしたけど私の戦闘心に火がつきそのあとしばらくお互いびしょびしょになるまで遊んだ








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