2 なんと江ちゃんによると県大会に出場することと逆算して怜くんは遅くても1週間までには泳げなきゃいけないらしい。 こういうことはほんと江ちゃん得意だな すごくマネージャーっぽい…あれ?私マネージャーの意味ある…!??! 『最近私の存在理由がわかりませんあまちゃん先生…』 「え?どうしたの?カウンセリング行く?」 そんなこんなであと5日までに泳げなくてはいけないというのに今日はあいにくの雨ということでハルの家に水泳部員は集まった 「えーこれよりなぜ怜ちゃんは泳げないのかと考える会にします!意見のある人!」 「水に嫌われてる」 「怜ちゃん可哀想…」 『水泳部員なのに…』 「んなわけないだろぉ…」 『眼鏡』 「なるほど…!」 「いやそれ関係ないから!」 「運動が苦手!」 「怜ちゃん走るの速いよ?頭も良いし」 「頭も良いのかぁ…!」 「鯖好きなのか?」 『鯖と勉強の関係性とは?』 「わかった!頭が重いんだ!」 「勉強のしすぎで脳みそが!」 『結論、もう勉強はしない方が良いんじゃね?』 すると好き放題言っていた私たちの中で今まで黙っていた怜くんがバンッと机をたたいて立ち上がった 「もういいです!みなさんの教え方が悪いんですよ!僕だってちゃんとしたコーチがいれば!」 「…コーチ、コーチといえば!秋羅!」 『いえっさー!』 首を傾げる怜くんにまあまあ見とけよというように頷き私は携帯を取り出した。そして数分後美味しそうな香りをさせながらスイミングクラブの元コーチの笹部さんが来た 「カナヅチの相手だぁ!?元コーチのおれに」 「異議あり、僕は少なからず浮くのでカナヅチではありません。たとえるならそう...潜水艦だ」 「ねぇ、もぐもぐ吾郎ちゃんもぐもぐ、なんとかもぐもぐ泳げるようにしてあげてよ」 「食うのか喋るのかどっちかにしろ!!俺は忙しいんだよ、そのぐらいお前らが教えてやれ」 そう言って笹部コーチはさっさと自分の仕事に戻っていってしまった。それにしてもこのピザうっま〜〜 そしてもう思えばあと4日になってしまった。 気にしてなかった私でもさすがに心配になってくる。 そんなときいきなり怜くんは自分が泳げない原因がわかったといってすごく輝いていた 「何かつかめたのか?」 「ええ!答えはすぐそこにあったんですよ」 『なになに〜』 「それは…」 「「それは…?!」」 「この!水着のせいです!このブーメラン水着が悪かったんだ!!」 ド――ンッと効果音が付きそうなほどの勢いでそういう怜くんに近づく真琴と渚と私。ていうか怜くんのドヤ顔ってなんか腹立つよね 「これ僕が貸した水着だよね?なんかひどくな〜い?」 「ひどくなああい!!そもそもこのブーメラン型の水着は流体力学的に僕の体に合ってないんだ!たぶん!まだ計算はしてませんけど!」 「形からはいる典型的なタイプだね」 『正直水着は関係ないとおも……おっと』 「まあ、いんじゃないか?新しい水着買うってのも」 そんなこんなであと三日にせまってきたわけですが、水泳部みんなで電車に揺られて大型スポーツ店に来た私たち。いやーここも久しぶりに来たな。5年ぶりぐらい? 私は江と一緒に水着を見る 「へー結構いろんな種類あるんだー」 『あ、ねぇねぇ。似合う?』 「あんた意外とノリノリね……」 ついついこういうのって見ちゃうよね チラリと横を見ると同じような形の水着を交互に見ているハルの姿があった。すごく真剣に選んでいるようだけど私にはまったく違いというものが分からないのだが。するとハルは試着してくると試着室へと入って行った 「着替え終わった〜?」 「やはり僕にはブーメラン型より、こっちでしょう」 「「レインボー!?」」 『いやないわ!!!!』 「秋羅ちゃん!しー、しー!」 「怜だけにレインボーかぁ!」 「それぞれの色が心理学的に考えてのことです」 「似合う似合わないの問題がないのか?」 『正直注目しまくるよね、恥ずかしい』 「オレも着替えた、どうだ?」 「やばい…いつも履いてるのと違いが分からない!!」 「一緒じゃないの?」 「違う…締め付け感が、良い」 『へ、へぇ…』 水着の好みって人それぞれだもんね、個性だもんね。正直わけわかんねぇわ そこからなぜか水着ショーがはじまり皆気になったものをどんどん試着していく。私と江はただそれをベンチに座りながら眺めるだけ。 江さんは筋肉に惚れてるみたいだけど… さすがに何分間も疲れてくるわけで、私と江はもうぐったりとしていた 「わ、私飲み物買ってくるわ…なにかいる?」 『ああ、大丈夫…行ってらっしゃい』 なんだか疲れと共に眠気が襲ってきてうとうとしているとハルが試着室から出てきた。あれ、さっき渚じゃなかったっけ。いつの間に変わったんだ…なんて思っていると隣の試着室から見慣れた赤髪のやつがでてきた 「にとり?」 『、あ…』 「…?、ハル!?」 「凛…!」 あ、やばいなんか二人の間でものすごく不穏な空気が流れてらっしゃる。今ので眠気めっちゃ吹き飛んだわ。しばらく何も話さず見合っていた2人だが先に凛が視線をはずしたとともに今度は私と目が合った 「秋羅…!」 『奇遇デスネ』 はははは…ってかわいた笑いしか出なくなってきてるぞこれ。 「ハル…ツラ貸せよ。秋羅、こいつかりるわ」 『あ、う、うん』 凛とハルが着替えてどこかへ行ってしまった。取り残された私は何もすることができずとりあえずさっきハルにこれのお会計もしてきてくれと渡された水着を持って私は真琴たちのところへ行ったのだった (凛、やっぱなんか怖いな…) |