下駄箱の前にしゃがみこんで彼氏であるマルコを待つ。私とは違い、部活に所属している彼は遅くまで練習がある為、私はいつも図書室で暇を潰し、それから時間になったら下駄箱で待つ事にしている。日に日に暗くなるのが早くなっており、もう秋なんだと実感する。肌寒いし暗いしで早くマルコ来ないかなあと膝に顔を埋めていれば、「なまえ、」と私の名前を呼ぶマルコの声が聞こえた。

「…走ってきたの?」
「ん?ああ」
「走んなくても良かったのに、息切れてんじゃん」
「、早く会いたかったんだから仕方無ェだろい」

 恥ずかしげも無くサラリとこんな事を言ってくるのは良い事なのだろうが、私にしてみたら毎回照れて顔が赤くなってしまうので困っている。制服の袖で汗を拭くマルコにポケットに入れていたハンカチを渡せば、嬉しそうに笑った。一緒に帰る為に待っていたのに、自分がずっとしゃがみこんでいた事に気付く。急いで立ち上がろうとすれば、マルコは私にそのまましゃがんだままでいるように言った。するとマルコは自分のスポーツバッグを下に降ろした後、私の横にしゃがんでき、頭を私の肩に預けてきた。

「今日いつも以上に疲れてる?」
「んー…」
「大丈夫?」

 心配して顔を覗き込もうと横を向けば、マルコがこちらを既に向いていて、不意打ちで唇に軽くキスを落としてきた。あれ、今そういう雰囲気だった?何か私結構ぶち壊しにしてた?なんて動揺して何も言えずにいれば、マルコはククッと抑えるように笑い、そのまま更に私の方へと体重をかけてきた。重い重い、そう言いながらもう一度マルコの方を向けば、今度はぎゅうっと横から抱きしめられて、私の顔は更に熱くなった。
 急にどうしたんだろうか、何か甘えたい気分なのか?疑問に思いながら抱きしめられたまま、マルコの背中をさすればマルコにただ一言「、好きだ」と言われた。私だってマルコの事好きだし、好きじゃないとお互い付き合わないだろうし、と思ったが、やっぱり改めてそう言われると恥ずかしい、しかし嬉しいとも思った。しばらく沈黙が流れたが、小さい声ながらも私も好きだと伝えれば、「知ってるよい」と返され、何だか今までの雰囲気がおかしく思えて、何だそれと笑いながら返せば、マルコも楽しそうに笑った。



ピクシーと七つの帽子






20111016
title by √A

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