「英語の必要性が分からなすぎて先生がだんだんイケメンに見えてきました」
「悪いが俺は元々顔立ちは良い方だよい」
「うっわ、ナルシスト乙」
「殴るぞ」

 放課後の教育指導の教室でマルコ先生と二人きり(はぁと)、なんてマルコ先生のファンであったら"よっしゃァァアアア!!"とガッツポーズを取る位嬉しい事なんだろうが、残念ながら私は別に先生のファンな訳じゃないし(確かに格好いいとは思うが)、出来るなら居残りというお勉強会はサッチ先生とやりたかった(だってサッチ先生の方が生徒思いだし)。
 目の前に積まれたプリントの量に思わず溜息を吐いてしまう。たかが数回宿題をやり忘れただけで、こんな大量のプリントをやらされるとは…面倒臭いと思いながらもスラスラと英文問題を解いていけば、マルコ先生が他の生徒のプリントを確認しながら話しかけてきた。

「大体お前は何で英語出来んのに宿題やってこねェんだよい」
「え、面倒臭い以外に何かありましたっけ…」
「何で俺がそんな引き気味の顔で見られなきゃいけねえんだよい」
「すいません、ちょっと顔がバナナに見えて…」
「いい加減にしろよい」

 若干額に青筋を浮ばせたマルコ先生を見て思わず笑みがこぼれた。そんな私にイラッと来たのか先生は席を立って窓際に歩き、煙草を吸い始めた。教室内は喫煙禁止である事を教えてあげれば、"知るか"と一言返された。私ももうプリントをやるのに疲れたので、先生のいる窓際の方に歩いていった。
 ふと横を見れば口から煙を出す先生と目が合った。この人もこういう校則違反な事するんだなあ、と微妙に親近感を覚えながら、先生の口から煙草を奪い取った。お互いの鼻が触れそうになる位顔を近づけて、ふざけて"私の相手もして下さいよ"なんて一昔に流行ってそうな寒い誘い言葉をかけた。こんな私の行為に照れるか更に怒るかするかと思ったのに、先生は存外驚いていなくて寧ろ真剣な表情をしてじっと私の方を見ていた。やばい、とっさにそう思ってすぐに"なーんて、"と冗談であった事を言おうとすれば、その口を先生の唇で塞がれた。
 自業自得だとは思ったが、この教師も何やってんだ。ニヤけながら唇を離したマルコ先生を精一杯睨みつけながらそう思った。不覚ながらも少し紅潮してしまった私にマルコ先生は私から煙草を奪い返してもう一度吸い、口を開いた。

「教師を誘うんなら本気でやれ」



コンクリートに熱帯魚






20110809
title by √A

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