「…フェイタン?」
「……」

 仕事が終わったらしいフェイタンを廃屋の出入り口で出迎えれば何やらいつも以上に機嫌が悪い。な、何だろう…と思ってフェイタンの後ろを歩いていたシャルに目を向ければおでこに手を当てて風邪っぽい、と口パクをしてきた。そんな行動が視界の隅で見えたのか眉間のしわを深くさせたフェイタンは舌打ちをするとおぼつかない足取りで廃屋の中へ入って行った。か、かなり怒ってらっしゃる…!!サァ…と血の気が引いて行くのを感じ、私は急いでお粥やら冷えピタやらを盗りに走った。

「…フェイタン?入るよー」

 廃屋に戻ればフェイタンはみんなのいる所ではなく別の開いていた部屋でドアに背を向け横になっていた。そんなにつらいのか…ちょっとビックリしながらも回り込んで顔を覗けば睨まれた。ご、ごめんなさい…。

「…何しに来たか」
「え、いや、風邪って聞いたから…冷えピタを」
「いらないね」
「ええっ!じゃあおかゆ食べる?」
「…食欲ないね」
「で、でも食べないと…!」
「うるさいよ。お前ワタシに命令するか」
「いや、そんなつもりじゃないけど…」

 頭を抑えながら向かいあうように座ったフェイタン。頭痛そうだよ。息も上がってるし…

「あ!毛布持ってきたよ!」
「寒くないね」
「…………冷えピタ…」
「…いらない言てるよ」

 めんどくさそうにそう言われてしまっては引くしかない気もするけど何と言うか変に対抗心が膨れ上がってきた。ここは無理矢理でも…いや、何か攻撃くらいそうだな…でも風邪は引きずるとキツイしな…

「ええい!この分らず屋!!」
「…は?」

 ガシッとフェイタンに掴みかかっておでこに冷えピタを張り、毛布でぐるぐるにしてやった。そして距離を捕る。風邪のおかげで抵抗力が衰えてたからやりやすかった。が、無言の脅迫が襲って来て私は変な汗がダラダラだ。に、睨まれてる…!怖い!めっちゃ怖っ!

「お前…ちょとこち来るよ」
「ヒッ!…ごめんなさいっ」
「いいからこち来るね。」
「……はい、」

 さすがに睨みが怖かったので従ってしまった。恐る恐るフェイタンに近付けばグイッと襟首を掴まれてゴツン…と、…こない。あれ、頭突きじゃない?と思って条件反射で瞑っていた目を開けようとした瞬間、唇が、熱い…?カッと目を見開けば見えたのはフェイタンの髪の毛と肩。あ、あれ、これ…ちょっ!?むー!と叫んでフェイタンの胸をたたけば離れた唇。目をパチクリさせてフェイタンを見れば少し息を荒げて得意げにほほ笑んだ。

「お前、ちゃんと看病するよ」
「…は、はい…」

 そう言ってごろん、と私の膝の上に寝転がった。



ツンツンデレ患者

(フェ、フェイタンお粥は?)
(……口移しなら食べてやらない事もないね)
(え、…)






20101105
from みっつん






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