「…ひっ」
「あ、悪い」

 ぬめり、と慣れないものを素肌に感じ、すぐに振り返れば驚いた顔をしたペンギンがいた。いや、『悪い』で済むことじゃないと思うんだが。そりゃ今日は暑い。おまけに私の家のクーラーは壊れてると来た。私もペンギンも汗だくになりながら、ぼーっとしてただけだと思ってたのだが、何を思ったのかペンギンは急に汗の垂れる私の首筋を舐めてきた。本人も無意識にやったのかびっくりしていたが、すぐに何もなかったかのように「悪い」と一言だけ放って、私の本棚から勝手に漫画を取り読み始めた。ペンギンのその行動の一部始終見て、「私も漫画読もうかな」と思い始めた私だったが、やはり先程のペンギンの行動が頭から離れない。

「え、何、喉渇いてたの?」
「喉渇いたからって汗舐める奴なんていないだろ」
「理由関係無しに汗舐める時点でアウトですけどね」

 「まあ何となくだ」、そう言ってまたペンギンは漫画を読み始めた。何となくで汗舐めれるんかこいつ、と思いながら私も漫画を本棚から取り出し、ペンギンの横に座って読み始めた。この漫画の主人公の性格がペンギンに似てる事をペンギンに伝えようと、横を向いたが、ふと彼の首筋に目が止まってしまった。
 これでも付き合ってるし、体育の授業だって一緒だし、汗だくになったペンギンなんて見慣れてるのに、先程の件もあってかペンギンの汗の流れる首筋から目が離せずにいた。よく考えてみれば、体内の毒素が液状になって出てきてる訳であって非常に汚いのだが、不覚にも汗だくになったペンギンがいやらしく見えてきてしまった。

「舐めたくなったか」

 急にこっちを向いてペンギンはそう言った。舐めたいとは思っていなかったが、魅入ってしまっていたのは事実なので顔が熱くなってしまった。悪そうにククッと笑うペンギンを見て、私が困ってる時に笑う彼のあの微笑は完璧彼の先輩であるトラファルガー譲りだなと思った。赤くなった私を見て楽しくなってきたのか、ペンギンは悪い微笑浮かべ、「舐めていいぞ」と冗談を言いながら私を抱きしめてきた。

「いやいや、舐めたくないから!」
「見入ってたけどな」
「いやそれは首筋綺麗だなと思っただけで…舐めたいと思った訳じゃ、」
「そうか、俺は舐めたいと思ってるけどな」

 そう言ってすぐにペンギンは私の首筋を「がぶり」と噛み付いてきた。舐めたかったんじゃないのか、と聞けば、「どうせもっと汗だくになるんだから、後で舐める」、そう真顔で言って私の服を脱がし始めてきた。前に女の子の集団がいかにペンギンが奥手に見えるかについて話していたが、そんなの外見から憶測でしかなくて、やっぱり私にとってのこいつはただの変態でしかない。そんな変態が好きな私もどうかと思うが。









20130103
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