課題を提出するのが遅れて教授に怒られるわ、食堂のおばちゃんに嫌いなニンジン無理矢理食べさせられるわ、財布はスラれるわ、雨は降るわ、おまけにゴミ捨て場に座ってる怖い顔ボッコボコのお兄さんに遭遇して、スルーしようとしたのに結局絡まれちゃうわでまじ私の人生何なの?
 ゴミ捨て場にて座ってるお兄さんは真っ赤な髪をしてて、鼻も高くて外人みたいな顔をしてぶっちゃけ最初はトゥクンってしたけど訂正します。まじ怖い、顔ボッコボコだし何かこっち睨んできてるし何か血出てるしってあああああああああああ!!!!シャベッタァァアアアアアア!!!!!!

「おい」
「………」
「お前ん家に泊まらせてくんねえか」
「……ええええ…」

 初対面っていうか挨拶すらしてないのにこの態度有り得ないでしょこの人、何これって所謂アメリカンジョークとか言う奴なの?HAHA!!!って笑う所なの?ちょっと私には通じない冗談なんですけどどうしよう!!若干混乱した頭を(若干っていうかもう完璧混乱してるんですけど)フル回転で機能させるが、意味が分からない。

「いやあのすいませんちょっと意味が分からないですね…」
「寝る所無ェんだよ、しばらく泊まらせてくんねェか」
「いやいやいやいやいやいや、今日初めてお会いしましたよね!?」
「うっせェなお前」

 このお兄さんはそう言うとすくっと立ち上がり、私を自分の肩に担ぎ始めた。力持ちすぎて笑えない何これ本当怖い。降ろしてくれと手足をバタバタするも、お兄さんには全く効かず結局私が諦めるハメになった。「そういや、俺の名前キッドな」と今更ながら自己紹介してきたお兄さん(キッドさん)はどうやら日本語を流暢に話せるらしい(後から自分で『突っ込み所そこかよ!』と一人突っ込みしたのはもう恥ずかしくてしにたい)
 私の家に着いてからは取敢えずタオル、そしてこの間兄が忘れていったT-シャツとボクサーをキッドさんに渡した。頭も乾かし、怪我の治療も簡単にし、ようやく私もキッドさんも落ち着いた所でキッドさんが口を開いた。

「…お前何だかんだで面倒見良いな」
「そんな私を担ぎ上げるような人に反抗出来ませんよ…」
「お前が小せえんだよ、もっと食え」
「キッドさんは筋肉ムキムキですね、破裂しそうで気持ち悪…ああああ、すいませんん!!」

 やっべ自分何言っちゃってんの!!!とかなり焦りながら土下座をすればキッドさんは盛大に笑い始めたってあああああ!!!!ワラッタァァアアアアア!!!!恐る恐る顔を上げればおかしそうに笑うキッドさんがいて私は驚きで口を閉めることが出来ずにいた。ていうか私そんな面白いこと言ったか?頭上にハテナマークを浮かばせながらキッドさんを見ていれば、キッドさんはやっと落ち着いてきた(どんだけ笑うんだよ)。しかしそれよりも笑った顔を見て思ったが、キッドさんはやはりかなり顔が整っており、思わず私が照れた。

「…ククッ、お前面白ェな」
「ああ…はあ…」
「取敢えず短くて3ヶ月は居座ることになりそうだからよろしくな」
「え、ちょ、長ッ!!」

 そう言ってからまた私は自分を殴りたくなった。失礼な事ばかり言ってその内殺されるんじゃないか私…するとキッドさんはまた笑い出し、今度は私の頭をぐしゃぐしゃ撫でてきた。「可愛いなお前」、そう言いながら家の中を歩き始めるキッドさんをよそに私はただただ呆けるしか無かった。「そういえば」、隣の部屋からひょこっと顔を出しながらキッドさんは話しかけてきた。

「今言ったみてえにお前顔は悪くねえし、俺も男だからな、」
「…はい?」

 「100%襲わねえとは約束出来ねえからお前も気をつけろよ」、キッドさんは真顔でそう言うと再度家の中を歩き始めた(いやそこまで大きくないんだけど私の家…)。ブラとか転げ落ちてるかもしれない、どうしよう、ああ、でも何だかそれよりも、とにかくキッドさんがたった今言ったことが恥ずかしくて恥ずかしくて、私はリビングで一人でただ座っていた。



20120629/アクロスティック遊泳
title by 革命の養女
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