「私は!彼氏が!欲しい!!」

 屋上で俺、なまえ、ギル、アントーニョのいつもの四人でサボッてれば、今まで仰向けになっていたなまえが急に上半身を起こして冒頭にある言葉を俺達三人に放った。さっきまでラブラブなカップルを見て「リア充死ね!ペッペッ!」って女の子らしからぬ言動をしてたのはどこの誰だったかなあ。

「俺も!彼女欲しい!!」
「彼氏欲しいって、急にどないしたん?」
「だってやっぱり幸せそうな友達見てると羨ましくなってくんだもん」
「あれ、無視?」
「ギルはルッツ以上にムキムキにならないと彼女出来ないと思うから、取敢えず私の卵焼きあげる」

 卵焼き一つで喜ぶギルを横にアントーニョがまた話を戻す。あの調子だときっと自分の気持ち隠しながら冗談半分でなまえの事落とすつもりだな。「そないに彼氏欲しいんやったら、俺にしとき!」、ほら来た。お兄さんからしてみれば下心丸見えなんだよ。なまえは鈍感なせいで何も分かってないけど、「はいはい」なんて軽くあしらって、お兄さんの作ってきてあげた弁当から具を一つ選んで口へと運んだ。やっぱりフランシスの作るご飯は美味しいなあなんて良い笑顔で食べるなまえを見てると、毎日弁当作ってくるのも苦じゃないんだよね。

「そないな事言わんと、いっぺん考えてみー」
「えー、嫌だよ。アントーニョはたらしだって有名だし」
「誰やそんな噂流しとる奴!」
「自分でこの前女引っ掛けた話してたじゃん」
「隣の組の巨乳引っ掛けたって言ってたなそういや」
「フランシス、プーちゃん黙りいや」

 急に口を挟んできたギルにイラッときたのかアントーニョはギルに殴りかかろうとした。そんな様子をなまえと二人で平和だなあと眺めていると、なまえが急に俺の恋愛事情について聞いてきた、珍しい。なまえが自分から恋愛話を始めるなんて本当に珍しい事だから、ギルもアントーニョもお互い動きを止めて、顔をこちらに向けて、近づいてきた。

「お兄さんは彼女いないからなまえの仲間だよ」
「ていうかなまえ、何でフランシスにそんな事聞くん?」
「俺も彼女いないぜ!」
「プーちゃん黙りいや」

 しかし本当に何で急に俺に恋愛について聞いてきたんだろうか。俺もアントーニョもギルも不思議に思いながらなまえの返答を待っていれば、なまえはサラッと「だってこの中でフランシスが一番好きだもん」と言ってきた。アントーニョもたらしだけど、この子だって天然たらしじゃないの、と思いながらもニヤケそうになる顔を下唇を噛みながら一生懸命隠す。
 不覚にも凄く可愛いと思ったなまえに「ああ、もうおいで!」と両腕を広げてハグを促せばなまえは素直にハグしてきてくれた。「あー、ずりい!」「俺にもハグしてえや!」なんてギルとアントーニョの怒声が聞こえるけど、今くらい、この可愛いなまえをお兄さんのものにさせてよね。



20110918/ラブラドール・フレーバー
title by √A
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