私の働く幼稚園では一際目立つ髪色をした男の子がいる。燃えるように赤い髪色で、目つきは悪い。子供の頃からこんな目つきが悪くて、将来どんな大人になるのか今から心配だ。性格は強気で挑発的。でも実は何気に優しい。その為、同じクラスの子たちからは結構積極的にアピールされてる。そんな末恐ろしい幼稚園児がキッド君。

「スコップ取れ」

 一応先生である私に対してこの態度はないと思うが、キッド君だから、ともう敢えて突っ込まない方向でいく。笑顔でスコップを渡してあげれば、少し赤くなりながら「おう」とだけ言い、砂山を作り始める。そして作り終わった後は自分で上から踏み潰す。だいぶ残酷な遊び方だと思うが、まあ、キッド君だから。
 にしてもキッド君はロー君やルフィ君、他にも友達が沢山いるのに、何故休み時間になると私の所に来て、私を中庭に一緒に連れて遊ぶんだろうか。キッド君からしてみれば私はただのおばさん。おばさんと遊んで何が楽しいんだろうか。まあ、キッド君の仲良いロー君も蛾を捕まえたり、ルフィ君は女の子のスカートをめくったり、まともな遊びをしていないから、私と遊ぶ方が楽しいのかもしれない。しかし気になる。

「キッド君、何でいつも先生と遊ぶの?ルフィ君たちと遊びたくない?」
「………」
「あ、もしかしてキッド君、先生のこと好きなの?」

 冗談で言ってみれば、「うるせェ!」って顔を真っ赤にしながら砂浜から全力で離れていったキッド君。幼稚園児が相手だが思わず照れてしまう私。ダッシュで走ってくキッド君に「転ばないようにね!」と叫べば、案の定びたん、と派手にコケたキッド君。そばに寄れば、目に涙を浮かばせながら膝を抱えていた。見れば膝から血が出ている。すりむいたんだろう。すぐに消毒をしなければと思い、キッド君の手を引き、園内に入る。キッド君を椅子に座らせて膝の擦り傷の消毒をする。度々「っ!」と痛そうに肩をビクッと揺らしたが、プライドなのか知らないが、泣くことはしなかった。消毒が終わって、よしよしと頭を撫でてあげれば、

「、ありがとう」

 と先ほどみたく顔を真っ赤にしながら、自分のポケットから取り出した飴を私の手の上に置いた。不覚にもトキメいてしまった私は犯罪者扱いされるのだろうか。



20101127/せんせい
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