キッドと付き合うようになってからもうしばらく経つ。もちろん私が付き合い始めたからと言って、どちらかの家に移り住むとかそういう特別な事が起こる訳が無いのだが、付き合って思った。付き合う前と驚くくらい、お互いの態度や生活が変わってない。
 強いて言えばやっぱりキッドの家に寝泊りする回数が増えたくらいだ。他には…他にも特に何もない。付き合ってる前と比べて喧嘩は些細な事でするようになったが、いかんせん部屋が隣同士なものですぐにどちらかが相手の部屋を訪れて謝罪、と一分で仲直り出来るようになってしまっている。だから大して生活に支障が出る訳もないし、本当に付き合う前の生活と変わっていないのだ。

「"前の生活と特に変わってないバロスwwwwwwwww"、と」
「遠回しに俺に喧嘩売ってんのか」
「いいじゃん、ツイートするくらい。ちなみにキッドbot作ったからシクヨロ☆」
「誰得だよ」
「誰得でもない」
「潰すぞ」

 暇だからと携帯をいじくっていたが、何だかつまらなくなって携帯を放り投げ、私は漫画を読み始めた。キッドはと言うと相変わらずゲームに夢中で、私の事など頭に入ってないようだった、畜生!別に私も生活が急に変わるような恋愛をキッドとの付き合いで期待してないので、特に気にはしなかったが、"まあ、そんな幼馴染から恋人に急に変わってもねー…そうですよねー…"と若干嫌味を含めながらキッドに言ってみた。しかしゲームに夢中なせいで何も聞こえてないらしく、無視してきた。もういいや、と床に寝転がり漫画をもう一度読み始めれば、ゲームを止める音が聞こえた。
 ゲーム終わったのか、と漫画から目を離せば、いつの間に来てたのかキッドがすぐ隣に座り込んできた。そして私が急にどうしたのだと聞く前にキッドは何を思ったのか、床で寝転がってる私の横に両手をついて、顔を近づけて来、案の定ちゅっと軽くキスをされた。予想外の行動にびっくりして目を大きくすれば、キッドは真顔で"変わっただろ"と言ってきた。一瞬"変わった"なんて何の話をしてるのだろうかと不思議に思ったが、付き合ってから私達の生活が前の生活とは少しは変わったことについて言っていると何秒かしてから気付き、私の顔は更に赤くなった。

「うわあ…何で変な所で男前なの意味分かんないしね」
「お前ふざけんなよ」
「ところでキッド、全然彼女作らないから周りの人にゲイだと思われてたって知ってた?」
「お前は彼氏が出来ない可哀想な干物女だと思われてたって知ってたか?」
「照れんなよ、ツンデレ」
「死ねよ」



20110806/306号室
ありがとうございました!
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