きっと坊は今までくそ真面目に生きてきたから恋愛なんてしたことが無く、エロ本なんて勿論、女子のスカートをチラッと見ただけでも照れてしまう、そんな初々しい男子なのだろう。なんて、廉造と坊の初々しさ溢れる性格について花を咲かせていたら、後ろから坊に拳骨を振り下ろされた。そうだ、ここは坊の部屋なんだから居て当たり前なんだった。

「痛っ!」
「志摩もこんな奴相手にせんと、さっさと宿題終わらし」
「そないなこと言ってえ、ほんまは図星とちゃいますのん、坊?」

 痛がる私はそっちのけで、構わず話し続ける坊と廉造。図星と言われた坊はいつでも皺が寄ってる眉間を更に寄せて、拳を作り始めた。図星と言った時にはニヤニヤ笑ってた廉造も坊が怒ってる事に気付いたらしく、急いで愛想笑いを作って、「俺やっぱり子猫さんに聞いてきますわ…」と冷や汗をかきながら、坊の部屋をそそくさと出て行った。廉造が出て行ったと同時に廉造の「ほな頑張って下さい〜」というお気楽な声が聞こえ、それに反応した(更に怒った、と言った方が正しいが)坊は今度は顔を赤くして怒った。

「ほんっまにあいつは…!」
「廉造は本当変わらへんねえ」
「お前も人の事言えへんやろ」
「そないな事ないで!昔に比べてべっぴんになったやろ?」
「ほんまにお前も変わってへんわ」

 坊はそう言うといつもみたいに片手を額に当てて、大きく溜息をついた。そんな坊の姿にムカついた私は坊の顔を目の前から覗いてやった。廉造と話してたように、坊ならこういう女子の行為だけでも照れると思ってたのに、案の定覗きこんだ私の顔と首は坊の両手に掴まれた。やっべ、頭突き食らわされる、と目を瞑った時には気付けば坊の唇が私のそれと重なってて、驚いてつい目を大きく開けてそのまま何も言えずに呆けてしまった。
 坊の腕の中に収まり、呆ける私を坊は真っ直ぐな目で見つめてきた。今さっき起こった事を脳内で理解して十分恥ずかしい状態なのに、坊が恥ずかしげも無く、私の額にキスを落として口を開いたから、私は更に紅潮してしまった。

「ほんまに昔から鈍感で適わん、好きやっつの」



20110623/瞼越しハニーデュー
title by √A
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