「っな、何すんのよ!」
「何って‥花があんまりヒドイこと言うから、」
後ろから硬いものを押しつけながら、淡々と返す声は続け様に「ねえ、知ってた?花のこと考えるといつもこんなふうになるんだよ」と笑いさえ忍ばせて言ってのける。耳元を掠めるように囁かれたせいか、異様な恥ずかしさに一瞬で身体が熱くなった。
「そういえば、これも知ってる?」
「‥っ、離しなさいよ」
「身体を触られてくすぐったくなるのってね、」
「もう、離し‥!」
「好きな相手じゃないと、感じないんだって」
「ッ、あ」
唇で耳から首を辿るように触れられて、唐突に濡れた生暖かい何かが肌を這うと思わず声が漏れて肩が竦んだ。
「‥ねえ、花。くすぐったい?」
今の反応を見ていれば聞かずとも分かりそうなものを。どこか喜色を含ませてまた耳元に口を寄せて来た低い声に、あたしは怯えとは違うものでふるりと身体を震せた。
20120618
(引き金は、動揺からの「好きなんかじゃない」)