くだらないなあって、思うよ。君に出会って、君が居なくなって、それから余計にしらりと感じてしまうようになった。この世界は不平等だ。僕は病に侵されて、君たちはこの先きっと滅びゆく。僕とそれ以外のものとの隔たりは大きくて、君たち小人は僕たち人間に怯えながら身を寄せ合って暮らしている。僕らはどこにも行けず、それはだけど、どこかへ行けたとしても変わらないのだと思っていた。悲しいくらいに、変えられない運命なのだと思っていた。けれど、君は今、僕が病院のベッドの上で天井を見上げるしかないのと同じく、どこかで新しい借り暮らしを始めようとしているのだろう。(前とは違う景色を眺めながら、君は、何を思っているのかな、)
世界は変わる。目まぐるしく変わっていく。ぼんやりと君と出会ってからの短い数日間を思い出していると、だんだんと胸の痛みが激しくなって、君を思う度に、なんだか会いたくてたまらなくなってしまう。
(ねえ)
(もう一度、僕は君に会いたいよ、)
頭の中で呟けば、また君に会えるような気がして、僕は静かに目を閉じた。息を吸い込むと、清潔なシーツ、それから消毒液の匂いがする。僕は明日、手術を受けるのだ。どくり、どくりと不規則に脈打つ胸元へ手を伸ばす。そうすれば君の熱がそこに灯って、あの最後に見たきらきらと眩しい涙に、なんだか触れられたような気がしたから。だけど、祝福はいらない。
(アリエッティ、僕はもう一度、君に会いに行くよ)
胸の中で言う。君に誓う。独り善がりな約束を君はよく思わないだろう。顔をしかめながら、再び責められるかもしれない。それでも、僕は会いたかった。だって君は僕の心臓の一部になってしまったのだ。だから会いたい。君に会いたい。そうであることが当たり前であるように、また君に出会うことで、僕はこの息をやっと吹き返すことが出来るはずだから。
















20111218








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