「‥ねえ愛咲。あのね、私、結局昨日別れちゃった、」
「あらまあ、また1ヶ月で?うーん、やっぱダメだったかー‥」
「‥うん、やっぱりどうしてもダメだった。違うの。疲れてダメ。息が詰まりそうになっちゃう」
「あー‥、ならいっそ、全部さらけだしてみるとか?」
「、それはダメ」
「って、いうか。まあ、むしろ言うならそれはダメ、じゃなくてそれもダメ、って感じだけどね?」
「‥そう、ね。うん、それはダメ、じゃなくてそれもダメ。でも、ホントにダメなの。無理だって思っちゃう、」
「んー‥、てゆうかさあ、なんで無理なの?ムカついたらバコーンと殴ってドロップキックでも食らわしてやりゃあいいでしょうに。我慢なんかするから疲れんのよ。‥‥なんて、まあ、そんなのはアンタが一番分かってんだろうけどね」
「‥うん、」
「‥‥‥‥‥‥はあ、あーもう。考えなしにまた彼氏作って馬鹿な奴めと思ってたけど、どうにも仕方のない話だね。最終的にアンタが凹んじゃってるし。つーか大体、王子様みたいな男なんて居ないのよ。皆無、存在しないの。アンダスタン?アレはね、架空の生き物よ。ペガサスや麒麟と同列の幻獣」
「‥‥‥‥‥」
「‥あ、違うか。幻人?いや、よく分かんないな。まあ、とにかく、そーゆうの」
「‥‥‥‥‥」
「ちょっと、いい加減に夢を見すぎてるわね。でもさ、その自覚だってアンタはちゃあんと持ってるでしょ?だから、そんなにまた凹んじゃって、へったくそに笑ってる、し‥‥ってあ、ちょ、ちょっとストップ、真理、泣くな泣くな、ゴメン、あたしが悪かった。ほら。おいで、真理。ハッキリ言い過ぎたかね、」
「‥あい、さ、」
「‥‥あー‥‥、ってこら、馬鹿。そこはだから、あたしにキレてローリングソバットでも仕掛けるべき場面でしょ?なにしおらしく抱きついて来ちゃってんのよ、もう。どうにもこうにも可愛いでしょうが。まったく‥‥‥‥‥‥で。んふふ、うふふふ。ほらほら君塚、ねえ、これ、羨ましい?ね、やっぱり羨ましい?ほらほら、ほらほら。どうだこの状況。ねえ、羨ましい?ねえねえ、んふふ、羨ましいでしょ?」
「‥っ、イチャイチャするなら余所でやれ!!」
「「、‥わぁ‥‥なんかあの眼鏡の人、いきなり叫びながら立ち上がったぁ〜‥‥」」
「なっ、お前らなぁ‥‥!!」
「きゃあっ、愛咲、あの人怖い‥!私たちのこと睨み付けてるわ!!殺されちゃう!」
「うふふ、大丈夫。心配ないわ真理。ワンタッチダイヤルで警察に通報する準備は万端よ」
「さすが愛咲!それなら私はこのワイングラスであの眼鏡野郎の喉を突‥」
「かせてたまるか!その手を今すぐ下ろせ休場!」
「あらやだ、私なんだかあの男に命令されちゃった‥」
「うわぁ‥眼鏡のくせに生意気ね」
「ホント、いつか生え際から後頭部に向かってハゲ散らかしたりしそうな顔した眼鏡のくせに生意気よね」
「‥おい、そこの二人。とりあえず俺への謝罪は無くてもいい。だがしかし眼鏡を掛けた全人類に謝れ。眼鏡を発明し発達させた全ての人々に謝れ」
「わぁあ‥‥愛咲‥あの気持ち悪い‥‥‥」
「うん‥やっぱり警察‥‥呼ぶ?」
「‥こら、待て、早まるな。本気の目をして俺を見るんじゃない。そして携帯と見比べるな!ワンタッチダイヤルに指を伸ばすな!!」
「、ぶっ、あっはははははははは!!!!ちょ、君塚くん何必死になってんの!?つーかそんなことするわけないじゃん、君塚くんてばホント素敵に面白いわ〜」
「‥いや‥絶対あの目は本気だった‥確実に半分以上は本気だった‥‥」
「‥‥何ぶつぶつ言ってるのよ。気持ち悪い」
「あっは、ホントのこと言ったら君塚くんが傷ついちゃうじゃん真理。そんなことしたらカワイソウダヨ?」
「そう言いながら満面の笑みを浮かべるお前は何なんだ」
「うん?いやぁ、君塚は弄り甲斐があって楽しいなあと思って」
「ほお‥そうか。小指の甘皮ほども嬉しくないな」
「は。嬉しがられても更に気持ち悪いだけだものね」
「‥‥おい、休場、」
「っ、ぶはっ!!き、君塚‥!何その変な顔!今のイイ!すごくイイ!!うわー酒が進むわ〜!よし、ほら、君塚くん!写メ撮ろう写メ!さっきの顔をみんなに一斉送信しよう!」
「断 固 拒 否 す る」
「えー?何それ白けるわ〜‥相変わらず君塚くんはつまらない男だねぇ」
「ホント。それになんか、気持ち悪い」
「ねー」
「うん、ねー」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。‥‥で、さっきの恋愛相談もどきの茶番劇は終わったのか?」
「うっわ、茶番劇とか言われた〜なんか傷つく〜」
「愛咲可哀想‥」
「‥いや、可哀想なのはいつも俺だろう」
「あっはは、なんだ、やっぱ自覚あるんだ君塚」
「残念ながらな」
「はあ‥ホンット気持ち悪い‥‥」
「‥いや、だから、どうしてそうなるんだ休場。俺はまだ何もしてないぞ、」
「まだ、ってゆうか出来ないしする気もないのにアンタは一体何を言ってんだか」
「‥あ、ワイン切れた。すみません店員さん、白ワイン‥‥はい、さっきと同じものをもう一本いただけますか?」
「‥まだ飲むのか‥‥」
「あっははは、当たり前じゃん。そりゃ今日は君塚が居るんだもん、財布の心配もしなくていいし酒が二倍美味しいよ」
「つまり、俺は『財布』だと?」
「イエス、ザッツライ!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥はあ。だから、三瀬はその、無駄にいい笑顔を俺に向けて楽しむのを止めなさい」
「え?無理無理。だあって君塚で遊ぶの楽しいんだもん」
「で、は止めろ。で、は」
「‥あ、すみません店員さん、サラダを一つとソルトシュリンプを三つ、スジ肉の甘辛煮を二つ、鳥の軟骨一つとチーズクラッカー三つ」
「‥そして君は俺に奢らせる気満々なようだな、休場」
「‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥スルーか‥‥」
「‥っ、‥‥っ!!‥っ!ぶ、はっ!!うはっ!うあははははははははは!!き、きみっ、君塚!!!あたしアンタのその顔だいすき!すごい楽しい!!いろんな意味でありがとう!」
「‥‥ほお、それはよかった。一応どういたしましてとは言っておこうか。しかし、俺は実に遺憾だよ。悲しい。そして辛い。何故ならばまず、『財布』であったとしても私には法律のもとに定められた人権というものが存在していてだな、」
「‥あー、なんか話長そう。もういいや。てゆうかそれより真理さぁ、このグリルサーモンクリームソース和えとかゆうやつも頼まない?赤ワインも他に何か頼もうよ」
「ああ、うん、そうね。美味しそう。私、赤ワインは少し渋めのやつが飲みたいな」
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
「あ、店員さーん、注文いいですか?」
「ええと‥‥追加なんですけど、グリルサーモンクリームソース和えと‥赤ワインで渋めの、お魚に合う薫りの物でオススメってありますか?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
「うん、うん、ええ。そうですね、やっぱり少し渋いのが‥‥あ、はい、じゃあ、それを一本お願いします。グラスは二つで」
「あ、そうだ。あと、取り皿も二つで大丈夫ですから!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ああ、なんだろう‥‥この気持ち‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥なんだか無性に涙が出そうだ‥‥‥‥‥‥」
「んぁ?君塚、今なんか言った?」
「‥いいや、私は何も言っていない。何も私は言っていない」












20110201
(前半は茶番、後半は弱い者イジメの図)







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