小説 | ナノ


▽ 3




それからの展開は、まさに一方的だった。
数なんて関係ない。むしろ狭い路地という地形を生かして背後を取らせず、あまつさえ相手の攻撃など食らう事すらなかった。
人数が少なくなると、広い場所へと躍り出て残りの人数を片して行く。
響を羽交い絞めにしていた男も撃沈し、リーダー格である響を誘い出した男すらもあっけ無なかった。

「今度響に手を出してみろ。こいつを使いモンにならなくしてやるからなァ」

その男の性器を踏み潰すぐらいの力加減で足を乗せた蓮は、転がる男を見下ろし口を開く。
涙を流しながらガクガクと頷く男に興味をなくしたように視線を外し、響の元へと向かう。

「響、行くぞ」

「あ、兄貴…」

響は未だに目にした光景が信じられずに、半ば放心状態。
手首を掴まれて引きずられるようにして表通りへと歩き始める。
響を引く蓮は、いつものようには戻っておらずに先ほどまでの雰囲気を纏ったまま。
それに戸惑いながらも、足早に歩く蓮に何とか付いていこうと足を動かす。

「兄貴っ…どこ行くんだよっ…家とは逆方向…!」

「いいから着いて来い」

有無を言わさぬようなトーンで言われて反射的に肩が跳ねた。
向かう先にあるのはホテル街であるのは響も知っていた。
しかし目的がそこだとは思っておらずに聞いてみたわけだが、怒っているようにも見える背中は、答えを与えてはくれなかった。

蓮に引きずられるようにして連れて来られたのは、やはりホテル街にある一つの建物のその一室。
そのままベッドに放り投げられるようにして、広いベッドのシーツに背中を沈める。
蓮は慌てて起きようとする響の肩を押さえつけるようにして上に圧し掛かると、動揺で揺れる瞳を見下ろした。

「…クソ、あいつ等のせいで俺の計画が台無しじゃねェかよ。…つーか響。お前もお前だ。あんなんの後に着いて行ったら、他の奴らに囲まれる事ぐらい想像がつかねェのかよ」
「…え、あ……ごめん、なさい…」

響はいつもと違う蓮の雰囲気に飲まれ、素直に謝ってしまう。
そんな響の動揺を感じ取ってか、双眸を眇めて唇に弧を描く。

「喧嘩ぐらいならと思って見送ったが、ヤられそうになるとかは我慢ならねェ。………お前の処女は俺が貰うって決まってンだよ」

「―――――は…?…んぅッ…!」

さらっと言われた事をスルーしそうになったが、その内容を頭が理解して聞き返す。
蓮の態度に衝撃の告白にと、頭が付いていかずにフリーズ状態。
肩を押さえつけられていた体は、いつの間にか頭上で両手を束ねるようにして片手で押さえられていて、顔を近づけた蓮に唇を塞がれていた。

「ほら、響。口、開け」

男であり、義兄である蓮にキスをされても嫌悪感を抱かない自分に戸惑いながらも、塞がれる唇を頑なに閉じてそれ以上の進入を許さない。
そんな響の唇を舐め上げて、口を開くように低音で囁く。
腰に響くような甘さを含んだ低音にゾクゾクと首筋を震わせながらも、嫌だと言うように小さく首を振る。

「…ったく、強情だなァ」

そんな響の様子すらも楽しんでいる風で、両手を押さえていない方の手で響の身体を弄り始める。
唇の輪郭に舌を這わせ、開かせるように割れ目をなぞる。
その間にも頬から首筋、鎖骨と撫で降りて行った手が胸板を飾る突起へと触れる。
薄手のシャツ越しに爪で引っかくようにされてしまえば、むずむずとするような感覚に唇を開いて小さく声を漏らしてしまう。
そのタイミングを逃す事はせずに、舌を差し入れ、逃げる響のソレを絡め取った。




「あっ…あに、き…ダメ…あぁんッ…も、ムリっ…」

蓮の手管に抵抗らしい抵抗も見せられずに完墜した響は、後孔をいっぱいに広げて蓮の剛直を受け入れている。
ローションでタップリと時間をかけて解されたそこは、初めてだと言うのに快楽すら感じてしまっていた。

「うん?…ムリじゃねェだろ?…まだ、イけるって」

裡を激しく擦り上げながら、二人の間で透明な蜜を零す響のモノを大きな掌で包んで扱くと裡が締まって蓮を包み込む。
その内壁を無理やり押し広げるように激しい抽挿を繰り返す。

「あっ、あっ…もぉ…イ、く…ッ…」

「…あァ、…いいぜ。…ほら、イけ」

「…ッ…あ、んッ…ひぁぁぁッ―――!」

身を屈めて響の耳元で連は囁き、グリ、と鈴口に爪を立てるようにして強い刺激を与えると、我慢しきれずにビクビクと全身を震わせて二人の間に精液を撒き散らした。

「!?…あっ、やァ…イった、ばっか…なのにッ…ふ、ァッ…」

「俺が、まだだからな…ッ、もう少し」

吐精後の倦怠感にぐったりと背をシーツに預けたと言うのに、蓮の律動は止まらずにすっかり蕩けてしまった中を突き上げる。
自身の快楽を追いながら、再び擡げ始めた響のモノを擦り上げげて響にも刺激を与えていく。
全身を紅潮させ涙を流して無理だと訴えるその姿は酷く扇情的で、蓮の欲望を煽るばかりだ。

「…響…ナカに、出すぞ…ッ…」

「え、あ…?…ンッ、ぁぁッ…!」

蓮が響の中に吐き出すとほぼ同時、響もまた二回目の絶頂を味わったのだった。





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