気まぐれに短文
南→(←)ブ
はっと息を飲んだ。
「――隠してンのに、……んで気付くっ……だ、よ! ちっ、くしょ。な、んで」
ぐしゃぐしゃに歪めた酷い面。酷く掠れた声で繰り返す言葉は、何故。
零れさえしないものの、その瞳には薄く涙の膜が張っている。顔を隠すかのように、俯き片手で覆う男は小さく息をついた。
「く、るし……い」
声が消えると共に辺りに静寂が広がった。
途方に暮れた人影が、二ツ。
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