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Noble Mind pierces through the world -DEA- ... 03


 日本の国際空港の搭乗者入口、である。ここまでの道中は新幹線やタクシーを利用してきたのだが、移動中の空気は最悪だった。
 DIOの息子とはどう言うことだと問い続けるセオと、頑なに答えようとしない承太郎。彼がDIOの話題を振られることを嫌うのは分かっていても、自分と血の繋がった存在がいるという可能性が生まれた以上、問わないではいられない。
 それでも時間は過ぎていくもので、ここまでだんまりを決め込んだ承太郎の勝利で飛行機離陸の時間が迫る。

「帰ってきたら絶対に聞かせてもらうから。」
「訊かれたところで答える必要はない。」
「わたしに兄がいたなんて。」

 承太郎は帽子を直す。セオは返事を待つが一向に帰ってこない。黙って待っていられる時間はもうほとんどない、諦めるしかない。

 日本からイタリアへ向かう人の群れはまばら。ツアー団体は2.3集団通り過ぎた。セオも搭乗しなくては。アメリカと日本、イギリスを何度か行き来しているので飛行機は慣れたものだ。


 セオは自分と血のつながりのある者に会ったことがないわけではない。むしろ周りに沢山居る。ただ感覚として、両親はもちろんだが、両親ともに姉妹兄弟、そしてその親にも姉妹兄弟がいなかったために、セオ以外にDIOとセオと同じ筋の血を継いだ者はいないと思っていた。
 セオがセオを身籠った時、DIOの胴体はジョナサン・ジョースターというセオの親友でDIOの義兄弟である男のものになっていた。その辺については割愛する。そのためセオは自分の首筋にひとつの星を受け継ぎ、それはジョースター家の人々と血を分かち合った証拠とはなった。ただ、その血は首の証拠を以ってでも濃いものとは思えなかった。
 広瀬康一の口から明かされた、DIOの息子の存在。それはセオに強い興味を生ませて拭えなかった。腹違いだろうとはいえ、2分の1の体の組織を同じ男から受け継いだ存在。知りたい、会ってみたい、同じ目の色をして、同じ髪の色をして居るのだろうか。顔立ちは、髪の艶は、声は、身長は、体格は。性格は、思考は、好きなものと嫌いなものは?
 もしかして彼には母親がいて、2人で幸せに暮らして居るのだろうか。そうしたら、その母親には合わない方がいいかもしれない。腹違いなんて嫌われて当然の存在だ。

 セオが難しい顔をして動かないので、承太郎は彼女の肩を揺すった。

「さっさと行け。向こうに行けば財団の研究員が案内をする。」
「・・・おじいちゃんとおばあちゃんと、ホリィさんと、ジョリーンとおばさんと、典明おじさんによろしく。」
「伝えておく。」

 後ろ髪が承太郎に掴まれたまま離されない感覚をもちながら、セオはタラップを登った。






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