小虎がよその子を押し倒す
小虎が市ノ瀬ちゃんを押し倒す
「っわああ!?」
「え、ちょ、!?」
洗濯物を取り込んでいた小虎は落ちていたタオルに足を滑らせ、近くにいた市ノ瀬を押し倒して転んだ。
「わ、わ、わりい!」
小虎はすぐ下にいる市ノ瀬を間近で見てカァと顔を赤くした。市ノ瀬は「あー、ハイハイ。僕は君とこんな展開望んでないから早く退いて」と軽くあしらう。その時「おーい、小虎ハサミど…」と窓をガラッと開けて唯が現れた。瞬間庭の二人を見て目を点にし、ーーニヤァと笑った。
「市ノ瀬、小虎と幸せになー、もう私に一生関わるなよ!ハハハッ!」
そう言って踵を返した唯に市ノ瀬はすがりつくように「待って!!唯ちゃん誤解いいいい!!」と悲痛な声を上げた。
「い、いち…」
「どけよ!!僕にフラグなんて建てるなクソ×××ーー!!!」
「いッッ!!!」
小虎は市ノ瀬にパンッとスナップの利いた平手打ちをされ、頬に赤い紅葉を咲かせた。
「わああん!!!唯ちゃん!唯ちゃん!誤解だからあああ!!」
無理矢理脱出した市ノ瀬は、泣きべそをかきながら唯のあとを追った。
とばっちりを受けた小虎は「こっちが泣きてぇよ……」と空を仰いだ。
小虎が沙弥ちゃんを押し倒す
「田村わりぃ…足がもつれて……」
「いいって気にすんな」
ソファの上で小虎は沙弥を見下げながら情けない顔をする。今日二度目、女子を押し倒してしまい、面目がない。ただ、沙弥は笑って面白そうに「中々ないシチュエーションだよなー、こうやって人を見上げるって」と言う。
「からかうなよ、市ノ瀬からはたかれてすげー、痛かったんだからな」
「そのでっかい湿布はそういうことか」
沙弥は小虎の頬に貼られた湿布を見て声を立てて笑う。小虎は罰が悪そうに「笑うなよ!」と眉間にシワを寄せる。
「自分でもそのうち刺されるんじゃないかと…田村?」
小虎は沙弥が急に自分の背中を見て固まっている。小虎もつられて見ると…そこには、千百合と青筋を立てた真也がいた。
「……真也くん、許せないシチュエーションの場合、どうしたらいいのかしら」
「……話し合いで解決かなあ……」
真也は、にこり、と笑って触っていた柱をバキッと握力のみで半壊させた。
「言葉と行動が伴ってねぇぞ平城ぉぉぉおお!!!」
ーー心底肝が冷えた小虎は、真也に土下座し事故だと必死に訴え、フラグの神様を恨んだ。
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