01
「ちょっと早くついたな」
「うん。でも、さすがに午前10時だったら新も起きているでしょ」
アルベルトと直人は、いつものようにケーキを提げて櫂木壮の屋根裏に住む少女・新見新の元を訪ねてようとしていた。
「いや、ハムスターは夜行性だぞ」
「はいはい……」
直人は階段を上りながら、アルの勘違いを軽くあしらった。いい加減訂正するのも面倒になってきたようだ。二人は屋根裏部屋に上がり、新見が住んでいる部屋を三回ノックする。
「あーらーたー、あーそーぼー!」
「ケーキ持ってきたぞー」
そう言って新見を呼ぶが反応は無い。二人は顔を見合わせて、今までよりボリュームを抑えて会話する。
「やっぱり、まだ寝てるかな」
「夜行性……」
「今まで昼に会ってただろ、バカ」
直人は携帯を取り出し「メールで起こすのもな…」とアドレスを呼び出すも迷い、「起きたら教えて」とメールを打って下で待ってよう、と結論を出した。アルベルトにもそうすることにしたと伝えた瞬間。
ガラッと目の前の扉が開いた。
prev / next