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「翼がやられたぁあああああ!!!」
直人がそう叫んだ。
部屋はすでに空き巣にあったのか・・・いや、殺人現場と化していた。
血が廊下に一面に塗られており(ほぼトウマの血)
一般人が見たら気絶するくらい殺伐とした現場となっていた。
翼は夜美により薬を飲まされ、すでに目の焦点が合わない。
むしろ白目をむいていた。
これはあぶない、次は新が狙われる。
そう思った直人は急いで新とアルを抱きかかえ2階へと駆け出した。
「・・・あぁもう!!ケーキ食べるだけの予定だったのに!!」
恐怖に顔が歪み、新が住んでいる屋根裏部屋へと逃げ隠れた。
バタンと扉を閉め、急いでソファーや机でバリケードを作る。
それを1人でやり(新茫然と見ていた)なんとか安心できると壁に背中を預け
ずるずると床にヘタリ込んだ。
「はぁ・・・・まぁしばらくは持つかな?
にしても何なのあの女の子!!!?唯の仲間!!?」
目を見開きガタガタと震える。
直人の直感的にあれは危ないと判断したのだろう。
先ほどの光景をみていた新もガタガタと震えていた。
「アル!!ちょっと説明しろ!!」
「・・・うるせぇな、キャンキャンキャンキャン・・・犬か」
「誰のせいだと思って・・・・え?」
アルベルトから手を離し、眼をぱちくりする直人。
そして近くにいた新も目が見開いている。
「「お前何で縮んでんの!!?」」
新と直人が同時に叫んだ。
そう、アルベルトの体が縮んでいたのだ。
先ほどかばった時に多少薬がかかったのだろう。
180cmくらいあった身長が新と同じくらいに縮んでいた。
アルベルトが新と直人をみて驚く。
「お、お前ら・・・・いつのまに大きくなったんだ!?「バカお前が縮んだんだよ!!」
は・・・・?まじか」
ぶかぶかになった服をみつめ、驚いているアルベルト。
とたんに新が叫ぶ。
「お前・・・・なんであれがこうなるんだ!!?」
「あ“?何いってんだ」
「だから・・・・あぁもう・・・・な、直さん!!」
「え?・・・はい!」
「なんでコイツ。
昔はこんなに可愛かったのにあんなデカブツになってるんですか!?」
「時が経つって残酷ですよねー?
可愛かった者美しかった者みな醜く変貌しますからー」
新と直人の間からぴょこっと顔をだすトウマ。
トウマの顔をみた瞬間、新が悲鳴をあげた。
「ひ、人ぉおおおおお!!!くるな。
あっちいけ!!
うっ・・・・はきそう・・・・戻しそう」
「何ですか、アル坊ちゃんや直人様がよくて僕はダメなんですか?
こんなにかわゆいのに「お前ふざけてるのか!」おやおや?イタリアンジョークですよ。ジョーク日本人は冗談も通じないのですか?くすくす」
と笑うトウマ。
殺意しかわかなかった。
「それより・・・あんたよく生きてたよね」
「おや?直人様。
僕の心配をしてくださるなんて優しいですね。
はい、翼坊ちゃんに夢中だったみたいなので直人様たちを追いかけてきました」
ぱんぱんと服の埃をはらいニコリと笑うトウマ。
お前、体縮んでるけどその服どっから調達した!!・・・とツッコミたい直人だったがぐっと堪えた。
後ろではアルベルトと新で何かやっている。
「新、目を閉じて深呼吸しろ。ひーひーふー」
「それ違うだろ!!?」
「ほら、菓子やるから食っておちつけ吐くな」
「獲付けするな!!!」
「あ、ならお茶にでもしましょうか? 夜のティータイムと洒落込みましょう
ケーキとお茶セットなら持ってきました」
「おぉ、気が利くな」
「チョコあるのか・・・・?「ありますよ、もちろん」!!?近づくな!!あっちいけ」
「くすくす・・・・・チョコが欲しければ物乞いでもするんだね。
餓鬼っふぜ・・「トウマうぜぇ」
・・・・すみません。 なんか反抗的な態度を取られると服従させたくなるという。
あれです、小学生男子が好きな女子をいじめたくなる・・・同じ心理です」
「・・・へ、変態!!!」
「新お嬢様・・・言っときますが変態にも種類があります。僕はどちらかというと
MではなくSです!」
「新に何変な事吹き込んでるんだ!!」
「えぇ・・・だってプルプル震えてまるで小動物じゃないですか。
苛めたくなります」
「小動物は愛玩すべきだ!こいつは絶滅危惧種なんだぞ!?「坊ちゃんの目も節穴ですねぇ」ふざけるなオレの視力は12.0だ!「マサイ族か!!?」」
・・・・こいつらアホだそう思い、直人は突っ込むのを放棄したくなった。
だが、このままだと時期あの悪魔がやってくる。
そう思った直人が口を開いた。
「とにかく、ここから出る方法でも考えようか」
直人の手には紙とペンを持ち、封筒には『遺書』と書いてある。
それを見た全員が思った。
こいつの脳内も、もうダメだと。
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