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「先生泣いてもいいですか・・・」
「泣くのはこれが終わってからだ」
「そうですね、まだラスボスは残ってますよ」
アル先生がまたナイフを構える、夜美さんが人形をほおり投げこちらへと向かってきた。
オレのダッファーちゃぁああああんがゴミと化した。
至近距離で激しい激闘、え?なにこれどこのアトラクション映画?
目の前で繰り広げられる俊敏な動きに付いていけない。
次第に、アル先生が声を上げる。
「おいっ・・・ナイフもうないぞ!」
「えぇーもうぶっ壊れたんですか・・・100本くらいあったのに
さすが破壊神。手術用ナイフでは無意味とか
はぁ・・・・メンドクサイですねぇ」
「ため息はいいから早くなんでもいいから投げろ!!」
最後のナイフでなんとか対応するアル先生。
トウマさんがポンと手を叩きオレに視線を向ける。
「というわけです。 玄関にあるもので武器になりそうなもの探しましょう」
「武器・・?とはいっても傘とか?」
「あぁ・・・まぁ木刀代わりにはなりますね。沙弥お嬢様、小虎様、えっと真也様・・・あぁもう全部使っちゃいましょう。 壊しても歩実様がなんとかしてくれるでしょうし」
適当に赤い傘を取り出しトウマさんが叫ぶ。
「坊ちゃん新しい顔よ!!!」
「・・・おう「なんか違う!!!!!」」
傘を受け取り思いっきり顔目掛けて殴る先生。
まって、違う・・・・傘は雨をしのぐためのもであって人を殴るもんじゃない!!
ばきっと音がしそれが傘の壊れた音だとわかりホッとする。
「おい・・・傘だめだぞ!!?」
「えぇ・・・・・本当ですか・・・翼坊ちゃんどうします?この際靴でも投げます?
嗅覚が鋭いならぶっ倒れるかもしれ「やめて!なんか傷つく!!」」
そう俺がいうとやれやれとため息をついた。
いやため息をつきたいのはオレの方だよ!!
「坊っちゃん武器あとなに残ってますかぁ?」
「調理実習で無理やり渡された唯のプリンしかねぇ!!」
そういって先生が取り出したのはラップに包まれた暗黒物質だった。
あぁ・・・そういえば今日作ってたな。
試食してなかったと思ったら先生に渡していた。
え?ってかあれプリン?
プリンって普通黄色いよね?
なんで真っ黒なの?真っ黒いオーラを出しているの
腐臭がするの?
疑問点がざくざくでるそれに夜美さんは一歩ひいた。
「最終兵器彼女ですね!!・・・嗅覚的にそれ食べたら死にます。
それを夜美お嬢様顔面にぶつけなさい暴走がとまるかも「夜美さん死んじゃうよ!!」
破壊神は死ねないので大丈夫です」
そんな爽やかに言われても・・・・トウマさんと討論していると
夜美さんがぷるぷると震えだした。
「お前は・・・化け物、だったり破壊神、破壊神って・・・あ“ぁああああああもうてめぇなんて
死ね!!死ねくたばれ変態ぃいいいいいいいい」
「おがへおいたおえhら!!!?」
「トウマさぁああああああああああん!??」
トウマさんの服をひっぱり無理やり紫の液体の口の中へと入っていくのが見える。
一瞬顔が真っ赤になり次第に青ざめ・・・・がくりと気絶した。
「ひ、ひぇえええええええええええええええええええ!!死んだぁああああああああああああああ!?」
「・・・・ちっ」
アルベルト先生が銃の安全装置を外し、発砲する。
銃の破裂音と火花の煙が頭をよぎった。ってかまだ武器もってたのかよ!!
「せんせぇええええやめてぇえええここ日本だからぁあああああ」
「あ“あ!?離せっ・・・あいつは殺しとかないとなんかあぶねぇ
「危ないのはお前の頭だ!!」」
頭上から声が響き上を見上げる。
これまた小さい少女達が腕を組み先生を睨んでいた。
一人はオレの知っている広瀬直人。そしてもうひとりメガネをかけた少女が怒鳴りながらこちらを睨んでいる。えっと・・・新先輩だっけ?
そして今にも泣きそうだった。
え?俺なんかした!!?
!
「ばかっ・・・・何でいるんだよお前!!」
「今日新の獲付けするって言っただろうがっバカアル」
「うるせぇ、バカ直。 今はそれ所じゃない。
新もってどっかいけ!!」
「私は物じゃない!!!お前こそあっちいけバーカ!!」
怖いのか直人の後ろに隠れ威嚇している。
ふと、直人が目の前のリビングへと目をやり絶句する。
そして新をぎゅっと抱きしめ見えないようにした。
「・・・・新チャンもお着替えしようか」
リビングの方ではトウマさんに飽きたのかこちらをずっと見つめている夜美さんがいた。
現にトウマさんは・・・・泡を吹いてぶっ倒れていた。
夜美さんの服のどこにしまっているのだろう。袖に手を入れまた服を取り出した。
「チャイナドレス・・・・?!!!」
「きっと似合うと思うよ」
「・・・・新逃げろ!!!」
「は・・・・?何言って」
ばっと夜美さんが駆け出す距離は5メートルくらいすぐに捕まる。
少女とは思えないスピードで近寄ってきた。
現にオレは・・・・怖すぎて玄関から動けずにいた。
先ほどより少し減った紫の液体の蓋をあけニヤリと彼女が笑う。
「きっと小さくなったらもっと可愛んだろうね」
「う・・・わ・・・・・あぁ・・・・・」
「ひゃぁあああああああああああああ!!!アル、アル!!
何とかしろ!!アル!!」
「・・・・ちっ」
アル先生がコートを脱ぎ新と直人がいる階段の前で立ちふさがる。
コートを夜美さんにぶつけ思いっきり蹴り上げた。
しかし、それを夜美さんが華麗によけアル先生へとこぶしをぶつける。
骨の折れる音と先生のうめき声が聞こえる。
「アル先生!!?」
「げほっ・・・・・あぁ・・・痛てぇ・・・な・・・・くそっ
コンタクト落ちたじゃねーか!!」
「お前血出てるんですけどぉおおおおおおお!!!」
イライラしているのかもうストレス発散とばかりに先生が暴れる。
やめて先生。 普通生徒の住んでるマンション破壊するなんて先生いないよ。
ゼッタイいないよ!!!
とはとても言えずヘタレなオレは未だがたがたと玄関で震えていた。
(30分経過)
もうこれは他の住民から非難集中しそうな勢いである。
現に外では「うるさいぞ!いい加減寝ろよ!!」とかきゃんきゃんとかと世の中冷たいなという言葉の暴力が聞こえてくる。
おい、だったら変わってくれ俺だってもう寝たいんだよ!!
「翼っ前・・・前!!!」
「へ・・・・!!?あっいやぁあああああああああああああああ」
なんてことをしていたら夜美さんがオレの服をつまみ持ち上げる。
くらっと視界が歪み、涙があふれ出る。
「はい、お薬のもーねぇ?」
その声と表情はしばらく夢に出てきそうだ・・・そう思いながらオレの意識はなくなった。
翼side end
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