オズ夜美こらぼ番外編 | ナノ



気づいたら縄で縛られていた。
ゆっくりと起き上がるとオレのいる場所は和室でとりあえずオレの家ではないことが
わった。
ふすまで仕切られた部屋はしーんと静まりかえり、オレ以外誰もいないことがわかる。

「いたっ・・・」

きつく縛られた手首は脈を圧迫しており、びくびくと大きく痙攣している。
足は・・・・足までご丁寧に手首と同様きつく縛られてるなぁ。
少し痛むが、まぁ耐えられないことはない。
ため息をついて、冷静になろうと努力した。

姉ちゃんがまた何かしたんだろうか?
裏組織関連なんだろうか?
田村さんを巻き込まなくてよかったとほっとする。
オレの周りには人はいなく、とりあえず誰も巻き込んでないことにほっとする。

だけど、どうしてオレはここにいるんだろう?
ふと昨日のことを考える田村さんと一緒に帰って・・
不安だからっておくって言ったんだ・・・そして誰に会ったんだっけ?

脳裏に一人の人物がゆっくりと浮かんでくる。
そうだ、あの人だ。

それと同時に閉じられていたふすまがゆっくりと開けられる。
真っ黒い髪の毛も威圧的な目も昨日のまま。
ごくりと唾を飲み込んだ。

あぁ・・・そうだった。

「鷹野さん・・・オレなんかした?」

目の前にはよく知っている人物鷹野唯がいた。
ゆっくりと俺に歩み寄り、オレと対面するかのように座った。
一瞬見えた蔑んだ顔がにぱっと笑顔に変わる。
市ノ瀬との会話でよくあの顔は見たことあるなぁなんて思っていたけど
まさか自分がそんな顔で見られるとは思ってなかった。

いやな冷や汗が出る。
はっきりいって鷹野さんは凶悪。
自分の思い通りにならないとキレるし
人に情け何てかけるはずないし
ましてや、俺に対してもので釣ろうとするし(田村さんの写真で)
行動が意味不明。
俺でさえ困惑する相手。

そんな彼女に捕まったオレはどんだけ不幸なんだと心の中でなげく。
鷹野さんは気まぐれ。なので彼女に常識何て言葉は通じず。
破壊神の姉をもったオレにさえ脅しをかけてくる。

オレの問いに答えは返ってこないで重たい沈黙だけが部屋に籠る。
鷹野さんはずっとオレをみていた。
まるで、オレの心の中でもわかっているかのように普段なら見せないにこにことした
笑顔でみている。
何か思ったのかゆっくりと口が開いた。

「別に? ただ真也を監禁したらどういった反応がくるかなって。」

「・・・は?」

「理由なんてないよ。 あんたの反応がみたかっだけだけど?」

きょとんとした顔でオレをみる鷹野さん。
いや、え? 反応が知りたいから監禁?
いくらなんでもおかしいでしょ! 空気が読めない女だと思ってたけどここまで・・・
精神科勧めた方がいいのかな。

脱力して、乾いた笑い声が自然とでた。
本当常識外れもいい所。
間違えば警察域になるかもしれないのに。
まぁ鷹野さんなら逃げそうだけど

「そう、なんだ。 ならもういいよね?縄解いて」

「え?嫌だ「え“!!?」
思ったより面白くなかった。 全然楽しくない」

黒い微笑みでオレを笑う鷹野さん。
いや、この場合一体どうした反応が鷹野さん的に楽しかったんだろう。
翼くんみたいに悲鳴をあげればよかったのかな?
・・・それはいやだな。

「そろそろ家に帰らないといけないし」
「誰が帰すって言った?」

ぴたりとオレの動きが止まった。
鷹野さんを見ると笑っているけど目は笑っていなかった。
まるで人形みたいな瞳でオレを見る。
なんか、変だ。
ようやく気付いたのかオレは縛られている体でじりじりと距離を取ろうとする。

がっと学ランのワイシャツを掴まれ一気に引き寄せられる。
力強い、げほっとむせそうになるのをなんとか押さえ鷹野さんを睨んだ。

「獲物は逃がさない主義なんだけど」

「え、獲物?」

「そ、あんた。平城真也くん」

にぱーっと笑うと掴んでいた手を離し立ち上がった。
俺を見下すように見ながら楽しそうに笑う。

「なんかさ、あんたら見てるとイラつくんだよね。
沙弥にデレデレしている真也が
沙弥の一言一言に反応している真也が
表情をコロコロ変える真也が!
照れたり、笑ったり、怒ったり、嫉妬したり。
沙弥ちゃんにしか見せない表情とかさ・・・ねぇ真也君?」

怒っているのだろうか、笑っているのだろうか彼女の瞳で思考を探ろうとしても
わかるはずもなく。
まるで呪いのようにぺらぺらと話す鷹野さんは誰がみたって異常にみえた。
心臓を鷲掴みにされたそのような感覚に陥る。

「鷹野さんには関係ないよ。」

絞り出すように出した声は思ったより小さくて
それを聞いた鷹野さんがまたせせら笑う。

「関係ない?そうだよ、当たり前じゃんか。ただ私が勝手に嫉妬してるだけだって」

「嫉妬?」

俺に嫉妬?意味が分からない。
すると彼女は、やっぱりかと笑う。

「沙弥に夢中なあんたには到底わからないよねぇ?まぁ一生わかんなくてもいいや。
真也がここから出なければいい話だし」

反論しようとする口を人差し指で塞ぎ
嘲笑気味に俺にいう。

「言う事きかないと沙弥ちゃん殺すよ?」

ドスンと何かが落ちる音がする。
リミッターっていうのかなこの場合。
鷹野さんの指にかぶりつき反抗する。

「田村さんを殺したら・・・鷹野さんと言えでも許さない。
殺すから」

指先がだんだん冷えていく感触がする。
これを血の気が引くっていうんだろうか、怒りのあまり思考が追いつかない。
殺す殺す・・・・
姉ちゃんの死を何度も見てきた。
だからわかるそれを田村さんが・・・・?
許さない。

今にも咬みつきそうなオレをみて
鷹野さんはまたにやりと笑い、さきほど咬みついた指をなめる。
そしてやっぱり血の味って慣れないね。まずいやとつぶやいた。

「真也って本当単純だな。
すぐかっかして、はぁ・・・なんか話すのもメンドイな。
づらづらと話すの苦手なんだよ。だから取引しよう」


「取引・・・」

「そ、つまりは私と遊んでってこと
私に勝ったら真也はここから出ていいよ。
私が負けたら真也の前に二度と現れない。
そうだなぁ、外国とかに引っ越すかな。その方が安心でしょ?」

「ゲームなんてする気におこらな「さっきもいったように言う事きかないと
殺すよ? もしかして私が人間だからってなめてんの?」」

パチンと手を叩くとふすまから黒ずくめの男たちが入ってきて
俺に向かって何十個の銃を向けてくる。
パチンと安全装置の外れる音がする。

「・・・・鷹野さんって裏組織入ってたんだっけ?すっかりわすれてたよ」

「親父のだけどね。 なんかいったら貸してくれた
まぁ、普段の行動をみてるからわかると思うけど
私容赦ないよ。欲しいモノでも嫌いなものでも
全力でやる主義だから」

こんなのは悪夢だと思いたかったんだけどな。
向けられた銃は本物で
頭に重い塊が乗せられているのがわかる。
姉ちゃんと同じ化け物の血がはいっいるからなのか全然怖くない。
でも、もしオレが死んだ場合は田村さんの隣にいられなくなるという恐怖感が出てくる。

「穏便にって言っても無理だろうね。」

半分あきらめ気味に言うと鷹野さんはいつもの笑顔でうんと言った。
本当にこれが夢ならよかったに
ふすまから市ノ瀬とか出てきてドッキリでした!!ってオレをビックリさせるなら
まだ許せるのに。
ふすまから出てくるのは知らない男だけで
どいつも血の匂いがしている。

「真也が抵抗するなら無理。 それに実力行使も楽しそうじゃない
えっとギャップ萌えっていうのかな?出雲のBL話によく出てくるし

・・・・真也私と遊ぼう?」

頭を掴み、オレと鷹野さんの距離が近くなる。
吐き捨てるように、田村さんを守れるならと重い口を開いた。

「うん、遊ぼうか・・・・」



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