△▽
「平城がこない・・・」
ここ最近真也の姿が見えず、心配そうにする沙弥の姿が目撃された。
真也は数日家にも帰ってきていない様で姉である夜美も知らない。
調べてはいるがなかなか見つからないようだ。
警察に連絡する一歩手前まで来ている。
「どっかで遊んでるんじゃねぇの?」
川村はのんきにお菓子を差出ながら笑った。
どうも沙弥は小さくつぶやくとお菓子にかぶりつく。
携帯を見ても彼からの着信は来ず、メールを送っても返信エラーとして返ってきた。
なんか嫌な胸騒ぎがする沙弥頭を抱えた。
「はよっすー!」
「おぉ、鷹野おはよ!今日は珍しく早いじゃん」
「はははっ!市ノ瀬がいないからな!なんか玄関先にいたらかフルボッコにして
ゴミ箱に捨てた」
「唯鬼畜!!」
翼が小さく悲鳴を上げた。
唯は沙弥の空いている席にどかっと座り頭を撫でた。
「どうした?めずらしいじゃん」
「・・・平城と連絡がとれなくて、いつもはこんなことないのに」
「真也・・・あぁ・・・あいつね。
私の所にいるわ」
「えぇええ!?」
「何唯、いけないラインこえ「んなわけあるか!翼のむっつりスケベめ!」
あ、え・・・いや違う!!違うから!!」
唯に指摘され、真っ赤になる翼。
沙弥はそんなことはどうでもいいらしく唖然と唯をみていた。
「あぁ、違うから。アルバイトしてるんだよ」
「あ、アルバイト」
「クリスマス近いでしょ?金を貯めたいんだってさ。なら住み込みで働かせてやるっていったら乗り気でさ。本当愛されてるねぇ―」
つんつんつっつく。
沙弥は頭をかかえ、はぁっとため息をついた。
中学の時AVを男子と一緒に見まくったせいか・・・と少し自己嫌悪に走った。
「ならいいけど。 連絡は欲しかった」
「まぁ、サプライズって言ってたからね。あ、これ秘密だから
いうなよ?私が怒られるから」
人差し指でしーっと口を隠す。
沙弥も安心しきったようにわかったと笑った。
「あれ?アルベルト今日一緒じゃないのか?」
川村が不思議そうにつぶやく。
唯にとってはどうでもいいらしく、イタリア・・・あいつリッチだよねと吐き捨てた。
「でも連日学校休むってあぶなくない。 先生怒りそうだし」
「なんでも高いものをあげたいんだって・・・私は知らん」
「私は物はいらないんだけど。」
「まぁまぁ、そう言わずになら今日私の家にきなよ。
真也も会いたいって言ってるからさ」
ぽんと肩を置きにこっと笑う唯。
「きっとあいつも喜ぶよ」
それはどんな意味を持つのか沙弥はまだ知らなかった。
それを見ていた市ノ瀬がそっとつぶやく
「あぁ・・・・また壊さないと」
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