とある少年のお話
「殺人鬼がわかったぞ」
「ジャック様だ」
「怖い恐ろしい」
「火あぶりだ、怪物は退治しないと」
街の人たちが賑わっている。
中心となる人物が十字架をもってにっこりと笑っていた。
「・・・さぁ、怪物退治にいきましょうか」
神父が笑っている。
そしてソフィアが神父に向かってほほ笑んだ。
「いいんでしょうか? 犯人は決まってないと聞いていたのですが」
「犯人なんて作り上げればそれで終わりですよ。それにジャック様はすごく怪しい。
村人もそろそろ犯人をみつけないとクーデターを起こしそうでね。危ないんですよ
それともあなたが
代わりに火あぶりになると?」
「それで沢山の人が幸せになれるなら!! 」
「あなたは相当狂っているみたいですね・・・・あとで町の人たちにも聞いてみましょう」
「私は何をすればいいんでしょうか?」
「抜け道がないか、罠がないか・・・あとは屋敷への道案内です。 あそこは案外狼が多いですからね
普通の人ではまずいけません」
「・・・・なるほど。では松明を持ってきましょう。 私が先頭になりますよ!!」
そこに白い髪の少年がたってフィオレを睨んでいた。
フィオレがそれに気づくとにこりと笑う。
「アドルフもいきましょう! みんなの為に戦うのです!!」
「お前の考えていることはわからない」
「人のためにそれが私ですよ」
馬にまたがって屋敷へと向かう。
それと同時にたくさんの村人が屋敷へと向かっていったのだった。
****
詳しい事は書かれていない。
ただ屋敷が全焼したということがわかった。
とても無残だったという。
あいにくメイドや召使はいなく、その家の家族だけが死んだ。
伯爵、祖父、母親・・・。
生き残った伯爵の息子はショックのあまり記憶喪失になってしまったという。
遠くの施設へと送られた。
ジャックだとわかる遺体を運び埋葬した。
二度と復活しないように手足には鎖をつけて地中深く埋葬したらしい。
今日もカインは本を読んでいた。
真っ白い病室の中、何も書かれていない本を読んでいた。
「カイン君お客様よ」
声が聞こえ、カインは上を向いた。
男性が立っていた。
ヘアピンで髪を止め、長い三つ編みだった。
男はカインへと近づく、頭を撫でる。
「・・・・誰?」
「・・・・迎えに来た」
「・・・?」
「お前のおじさん、覚えてないだろうけどね。ほら髪の色と目が一緒だろ?」
男はカインに見えるようにしゃがみまじまじとカインをみた。
真っ黒い髪に、血のように赤い目はカインとまったく同じだった。
カインはうれしくなりほほ笑んだ。
「おいで、また一緒に暮らそう」
男の手にひかれカインは歩く。
「おじさんお名前は・・・?」
男はくくくっと喉を鳴らして笑う。
「オズベルト・ヴィンチェンツォ」
赤い目の男はそう言って手を強くにぎったのだ。
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