チェックメイト
気づけば真っ赤な炎に包まれていた。
ジオが泣いてる。
慰めようとしても手が届かなかった。
恐ろしい冷たい目でこちらを仰視していた。
「いやだ、夜美、夜美やみ、ヤミヤミ・・・死ぬな、やだっ・・・いやだぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
ジオが大声で叫んでいた。
気づいたら、私の体には大きな剣が刺さっていた。
口もなにか鉄分の味がする。
手足は鎖で縛られており、薬を嗅がされたせいかうまく動くことができない。
トロンとした表情で上を見上げる。
屋敷は真っ赤だった、火だったり血だったり。
ちりちりと髪の毛が焼ける音がした。
「オズ、わかってるよな」
「・・・・」
ジャックの声が頭に響く。
オズは無表情で床に落ちたナイフを見ていた。
それをゆっくり握って自分自身へとあてがった。
「・・・・あ・・・・いやだ・・・オズっ」
動くたびに剣が奥へと突き刺さる。
痛い・・・でもそんなこと言ってられない・・・・!!
手を伸ばして叫んだ。
「オズ!!・・・やめて!!」
「僕が死なないといけない理由は?」
「オレとお前そっくりだからな。2人もオズベルトという人間がいたらおかしいだろ?」
「・・・・そう言う事。はぁ・・・・ゲームは僕の負けってことか」
2人の言っていることがわからない。
でもオズがしようとしていることがわかる。
視線に気づいてオズが笑う。
やめてよ、そんなときに笑わないでよ。
いつもみたいに笑ってよ。
いやだその笑顔いやだいやだ・・・!!!
「いやぁあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
オズの体が地面へと倒れる。
なりふり構わず鎖や剣を引き千切って駆け出した。
「scacco matto」
ジャックが私の頭に銃を突きつける。
そしてためらう様子も無く、引き金を引いた。
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