アイタイデス
茂みに座り込み。目をつぶった。
「大丈夫ですか・・・?」
「うん・・・ちょっと歩き疲れた」
ダリオにそう言うと彼は飲み物買ってきますとどこかへ走って行った。
・・・先ほどの神父の言葉が頭をよぎる。
化け物、化け物、火あぶり・・・・魔女狩り・・・?怪物退治
自分の体が怪物と再確認された。
朝ジャックに刺された太ももをみる・・・・すでに完治していた。
ぎゅっと裾を握りしめる。
「夜美・・・・」
小さい声が聞こえる。
オズかと目を開き上を向くと。
ジオが立っていた。どこでもいるんだね本当。神出鬼没だわ
「・・・・ジオ」
「泣いているのか?」
その言葉で顔に手をやる・・・・滴がこぼれた。
どうやら無意識で泣いているみたいだった。
ジオがしゃがみ私の顔をまじまじと見る、恥ずかしくなって顔を隠し、体育座りをした。
なんで、オズじゃないんだろう?
なんでジオなんだろう?
理不尽なのはわかってる。
ジオは無言で頭を撫でた。
泣いた、声を出して泣いた。
ダリオが来てもジオは無視して頭を撫でていた。
私は無我夢中で泣いていた。
ダリオと別れ、ジオの馬車に乗せられ屋敷へと向かう。
ゴドゴドと馬車が揺れる。
ジオのみつあみがユラユラと馬車につられて揺れた。
それを茫然とみていた。
重い口どりでジオが小さく呟いた。
「夜美はもう屋敷にいないほうがいい」
こくりとうなづいた。
「もう見てられない」
「夜美は私の絵をほめてくれた、すごくうれしかった。
ずっといたらいいなって思ってた。 父上と仲がいいのはすごく嫌だったけど
夜美が笑ってるならいいなと思った。 でもジャックが部屋から出てくるようになってから お前ちゃんと笑ってないだろ?
父上も部屋からでなくなってきた 何か関係あるんだろ?」
何も言えずただジオの声に耳を傾けた。
「夜美は知ってると思うがジャックは狂ってる。父上だって何かおかしい
それに私だって夜美が思っているほどいい人じゃないんだ。
父上と同じ欠陥品だよ。
だから夜美は一緒にいてはいけないんだ」
ごめんなと言われまた涙があふれ出た。
とにかく今はオズに会いたかった。
会って確かめたかった。
「・・・・ごめんねジオ・・・」
悲しそうな顔でジオが笑う。
そんな顔をみて私も作り笑顔で笑ったのだ。
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