ヒロ様とコラボリレー | ナノ


警察官と私

あれからジャックはほとんどオズと一緒にいた。
予防線なんだろうか?
オズも嬉しそうにしている。

私には盾目的で一緒にいるようにしか見えない。

私の反応をみて喜んでいるんだろうか?
ジャックがわからない。いや、あの殺人鬼の考えていることがわからない。

ずっとあの2人をみていると私が狂ってしまいそうになり、逃げるように町へと向かった。
いつもの活気はなく、捨てられていた新聞を拾った。

「切り裂き魔・・・未だ逃走中」

ぐしゃり、新聞を握りつぶした。
この際警察に連絡しようかな?それが一番いい方法なのかもしれない。
でもこの時代ってどうなんだろう貴族、もと伯爵の男を逮捕するくらい平等な世界になっているんだろうか。
いっそのこと自分で殺した方が早いかもしれない。
ただ、オズが悲しむからしないだけで。
その方法が見つかったらすぐにでも殺したかった。

「・・・・・あの・・・っ」

「・・・何!!?」
「わぁああ!!すいません、すいません!! ぼ、僕は決して怪しい者じゃありません!!
刑事であります!!」

「・・・・あ、あなたあの時の」

「あ、覚えてくれたんですか!恐縮です!」

びしっと敬礼してまたふにゃりと笑った。
思わずあっけにとられていると警官が言った。

「女性が一人で歩くのは危険です。 僕が付いていきますよ!!」
「いや、別に用事があってきたわけじゃないので・・・」

「なら、僕に付き合ってください!! 職務怠慢したいでありますから」

思わず噴き出したら、警官がにこにこと笑っている。

「女性は笑っていた方がいいですよ」

「ありがとうございます」

この人はいい人かもしれない。
女性扱いしてくれるし、オズみたいに子供扱いしない。
特に用事もないし、警官の案に乗っかることにした。

「うしっ!・・・じゃぁ自己紹介からっすね。ロッソ上官がいたときはちゃんと挨拶
できませんでしたから・・・」

「あ、そういえば名前知りませんでしたね」

「これから一緒に職務怠慢するんです。 名前を憶えていただかなくては
名前を互いに知ることによって結束力ってあがるものなんですよ!!」

「そ、そうなの?」

「はい! 女性から名乗らせるのは失礼だと言っていたので僕から
ダリオと申します!以後よろしく」

ビシッとまた敬礼して思わず敬礼し返した。

「・・・えっと夜美です。 よろしくおねがいします・・・」

そう言うとダリオはハイと元気よく返事をしてくれた。

「ここのパン屋おいしいんですよ!!よく食べに行って上官に怒られます」

「・・・・ははははは」

「マリーさーん!おすすめのパン2つお願いします!!」

「・・・あら?ダリオくんが彼女連れてきたわ・・・・明日は雨ね」

「雨・・・!!?」

「違いますよーあははははは!! 言わば同盟ですよ。
一緒に職務怠慢しております!」

「それ堂々と言える事かしら・・・?」

マリーと言われる女性は困ったように首をかしげている。
私は笑ってごまかすことにした。

「最近殺人鬼殺人鬼すごいですからね! レディーを守っているんですよ」

「いや、私レディーじゃないし」

「そんなことないですよ!立派なレディーです!!」

「はいはい、ノロケはそっちでやんな。 客が寄り付かないよ。
にしてもあんた、とても綺麗な黒髪だね。肌も雪みたいに真っ白だし。うらやましいわー」

「いや、そんな事は・・・!!」

「私もそんな娘が欲しいねぇ・・・・」

「マリーさんはもうすでに無理なんじゃぁ「なんだって?」いえ
なんでもないであります!!」

急いでダリオが買ったパンを飲み込み土下座した。
リアル土下座初めて見たよ。
怒らせたら怖いんだな、きっと。

「名前はもう決まってるんだよ!!ローザってどうかなってさ」

「ローザ・・・薔薇ってことですか?」

「そ、ここは薔薇がすごい咲き誇ってるからね。屋敷にもたくさんあるだろ?」

「・・・そうですね」

「だからさ、もし・・・その時はローザをよろしく頼むよ」

「生まれてもいないのにで、ありますか?」

「いちいちうるさい」

「ぐはっ」

マリーさんがダリオを殴る。
さっと避けるとばたりと倒れる音がする。
ごめん、怖いから思わずよけた・・・。
それでも、へらへらと笑っているダリオはどこか幸せそうだった。



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