勝者の願い
次の日はどしゃぶりだった。
洗濯物も干せやしない。
つまらないから一人チェスをしていた。
とはいって結局は自分自身が相手をしているから容易に勝てた。
やっぱりつまらない。
相手がいないと意味がない。
今日は警察にいくとかでジャックがいなかった。
ジオは出来ないと言っていたから無理だし。
一番相手をしてくれた相手がいないとこうもつまらないのか
応接室で足を揺らしながら茫然と時計の針をみた。
「あ・・・・暇人発見」
「誰が暇人だ」
「だって暇でしょ?くすくす、見る限り。 仕事をして頑張っている僕をよそに
ぐうたらに過ごすなんてひどいよねー?」
ニヤニヤとオズが笑いながら入ってきた。
ソファーに座るとチェスの駒を握る。
「・・・相手してくれるの?」
「・・・約束、してたでしょ? ジオと違ってちゃんと守るんだよ。 大人だからね」
はっと鼻で笑った。
約束守るって・・・・あれから何日たったんだよ。
いらっと思いながら、心の中では喜んでいた。
おかしいよね?矛盾しているんだもん。
オズがチェスの駒を持ちながらイライラし出す。
早くしないと遊んであげないよ、そう言っているようで急いで駒を持つ。
ずっとやっていると聞いていたが本当だったらしい。
オズにまったく勝てなかった。
駒の使い方がうまい?どの駒を捨て駒にして相手の駒を奪うか
そういう選択がすごくうまかった。
チェックメイトそう言うたびにやりと笑みを浮かべるオズベルト。
すごく腹立たしい。
なぐりたい
「うぅ・・・・・なんで勝てないの」
「夜美が馬鹿だからじゃないのぉ?」
「バカにすんな!!」
「バカをバカと言って何が悪い。 ならさっさと勝てば・・・なんなら賭けでもする?」
「賭けぇ・・・・?」
手を組みオズがまじまじと私を見る。
「勝ったら、願い言1つ聞くそれでどう?」
「・・・・いやだ」
「なんで?あ、もしかして負けるのが怖いんだぁ?
へぇー怪物なのにへぇー」
手に持っていたコップがぐしゃりと割れた。
ぽたぽたと紅茶が地面へと落ちる。
・・・・馬鹿力めとオズが挑発気味にこちらを見ている。
「・・・・やる!!」
オズにコントロールされるのが悔しい。
だけどもしかしたら勝てるかもしれない。
いや、勝つ。
勝ってざまーみろって言ってやる。
「負けず嫌いだよね本当」
クスクスと奴が笑っている。
思わずうるさいと叫んでしまった。
結局負けて何をされたかは・・・・・・ご想像にお任せします。
とんでもないトラウマがまた一つ増えた。
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