ヒロ様とコラボリレー | ナノ


失敗作

「学校一緒なんだ」
「王様に命令されて剣とか勉強とか教えていたら好かれた」

すごく忌々しそうにカインがアレンを睨んでいる。
こんなカイン初めて見た。
顔が崩壊している。

「逃げてきたのに・・・追いかけてきたんだ」
「カイン君がいくのならどこへだって・・・地獄でさえついていくよ!「逝ってきて勝手に」おちゃめなんだねぇカイン君は」

「気持ち悪い、話しかけるな!!」

「ツンデレー」

なんだろうこの王子。すごくポジティブだ。
えへへと笑顔はとても可愛いのに言っている事は大概変態発言ばっかり。
カインの顔がだんだんと殺意が混じってきている。

「あのさ!・・・もっとプリンあるから食べて。
 機嫌なおして・・・ね?」

「当たり前でしょ」
「・・・・少しは遠慮しなさい・・・・それ誰かにあげるんだろう?
ならその人の残してあげたほうが「いいよ! また作ればいいから」」

カインの言葉を遮り無理やり残りのプリンを手渡した。
もしかしたらオズは食べてくれないかもしれないし、そう思ったからだ。
どうせ捨てられるのなら目の前の喜んで食べてくれるだろう子供に渡した方がいいよね?
そう思った。

カインはありがとうございますとぺこりとお行儀よくお辞儀をした。
・・・・本当ジオの息子なんだろうか?
母親の顔みてみたいもんだ

隣にいる王子はルンルン気分でプリンを食べている。
・・・・お行儀のかけらなんて皆無だった。

早くも2個目を間食してご満悦しているようだ。
おいしいならこちらとしてもうれしい。
かちゃかちゃと使用した食器やら器具を洗う。

残った1個プリンをちらりと見る。分量がおかしかったのだろうか?
他の焼きプリンと違って真っ黒に焦げていた。
なんでだろう・・・?

「失敗作はあげたくないしな・・・勿体ないから後で食べよう」

1つだけ残ったのをテーブルの上に置き洗った食器を元の場所に戻した。
プリンの横に本が置いてある。
・・・・カインが忘れて行ったみたい。届けにいかないと
本を持ちまた戻ってくるだろうからとそのままにして調理場を出た。

数分後戻ってくると失敗作のプリンがなくなっており、空っぽの食器だけがテーブルに置いてある。

「・・・・・?」

「・・・あーまっずい」

ふいに声がして出口の方をみた。
オズが紅茶を飲んでいる。

・・・・まさかね

そう思ったが、妄想が頭から離れない。
顔がゆるむ、それに気づいたオズが恨めしそうにこちらを睨んだ。

「・・・・何?」

「別に・・・」

「今度くそまずいの作ったら許さないから」

「・・・・・」

「なんでそんなにうれしそうなんだよ」

そういうオズには私は別にと繰り返した。
好きな人に食べてもらえるってこうもうれしいんだ。
ニヤニヤとしているとオズが気持ち悪いと悪態をついてきた。



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