チェスしませんか?
オズの部屋に入る前にノックした。
返事なんてあるわけなく、そのまま入ったら私の目当ての人間がいた。
にんまりと笑いチェス盤を見せる、オズは面倒そうに眼を細める。
「オズ、チェスやろう!」
「・・・・暇人」
僕は忙しいんだよと言いたげに書類をひらひらと見せびらかしてきた。
お前普段は忙しいと言いならがセクハラする時間の余裕あるくせに。
・・・・私のちいさな願いは聞き届かないのか。
「あ、可愛くお願いしたらいいよ」
「・・・・は?」
「おねだりして?」
椅子に深く腰掛け、オズは上目づかいで見つめてくる。
・・・・ここでもおちょくる気かコイツは!!
着ている服の裾をぎゅっと握りしめた。
「一体どんな事想像しているのやら。
ただ一緒にプレイしてくださいって言うだけでいいのに」
「お前が言うと卑猥に聞こえるんだよ!!」
「だってわざとだもん」
ケラケラと笑い出すオズ。
本当人をおちょくるのだけはうまいよな。
「もういいっ!ジャックにまた遊んでもらうから!」
出口のある方向へと振り返って部屋から出ようとした。
ドアノブに触れようとすると腰に何かが触れる感覚がする。
それがオズだとわかり、肘で腹を突こうとする。
そんな私の行動なんて見透かしているのか手を絡ませてくる。
肩にオズが顔を埋める。
どくどくと心臓が早まっている音がした。
「・・・な、何してんのあんた!!?・・・・」
驚きのあまり声が裏返る。
そんな様子を至近距離でオズがにやりと笑った。
「もしかして・・・○○「いうな!!!」だって反応がおこちゃま・・・」
「いうな!」
手を振りほどき思いっきりオズの腹を殴った。
いや思いっきりといっても私が本気を出せば胃とか破裂させる可能性がある。
なので少しだけ手加減した(ほんの少し、死なない程度くらいに)
オズが腹を抱えてげほげほとうめく。
私をバカにするからだざまーみろ
ふんと声を鳴らすと恨めしそうに下からオズが私を見上げてきた。
「本当・・・君意味わかんない」
「オズよりはマシ」
「好きな相手を殴るとか・・・M気質なかったらとっくの昔に捨てられているよ」
「大丈夫だよ、オズ変態でしょ?」
「兄さん限定だよ」
咳き込みながらにっこりと笑う。
・・・・ちょっとイラッときたのでまた軽くこついた。
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