ダンスパーティ
「乾杯! 皆さんゆっくりして楽しんでください」
ジオの一声でざわざわと賑わいだした。
どの人も綺麗なドレスや洋服を着ていて、金持ちという発想しか思いつかなかった。
いつもはよれよれした服装をしていたジオもここぞとばかりに紳士スマイルを発揮していた。・・・これで女を釣っていたのか。
本当・・・あきれる。
オズはお偉いさんたちの会話で忙しそうだった。
まだ、女の相手よりはましだ・・・・と思ったけど。
ちらちらと未亡人や成人してまもないだろう女性たちがちらちらとやつらをみていた。
ここでもかっ!!
持っていたコップを割りそうになった。
あんの女ったらし・・・・・・
私の視線に気づいたのかオズが挑発的にこちらに笑いかけてきた。
・・・・すごく殺したい。女の敵だ、絶対生きていても意味がない。
真っ赤になる顔を隠すため屋敷の外へと出た。
冷たい風が私のほほをつたう。
ちょっとだけ助かった。きっとあのままいたら発狂するだろうから。
ふぅとため息をつくと
ガサガサと音がして赤い2つの目が私を見つめる。
「・・・ひっ」
小さく悲鳴を上げると2つの目は楽しそうに笑った。
それが小さい子供の姿だとわかるとほっと胸をなでおろす。
「・・・僕迷子?大丈夫?」
そう聞いたら2つの目は唖然としたように目を見開いた。
そして口元に手を当てくすくすと笑う。
「・・・迷子じゃないよ。 ただ人に酔っただけ」
「そうか・・・」
「お姉さんは?」
「私は・・・・見たくなかったから逃げ出しちゃった」
「見たくない・・・・?」
不思議そうに首をかしげる。
まぁ・・・子供だからいいかな。
そう思い恥ずかしいけどちょっぴりだけ本音を言う。
「お姉さんね、好きな人がいるんだけどその人がいろんな人と話してて見たくなかったの。
ちょっと嫉妬しちゃったんだ」
「・・・・それで?」
「・・・・私だけ好きなのかな?ってなって・・・急に恥ずかしくなって逃げてきちゃった」
「なら、相手を魅了させようか」
ぐいっと手を引っ張り子供の姿がはっきり見えた。
黒髪の髪に真っ赤な目・・・それがあの時の通り魔の様で頭が痛くなる。
そんな私に気づかないのか少年はハンカチを差し出した。
「鼻血出てる」
私のショタコンがここでも発揮するとは・・・。
でも仕方がない、それくらい目の前の少年は可愛かったのだ。
「・・・・あ・・・ごめっありがとう」
急いでハンカチで鼻血をふく。
黒髪の少年はやれやれと頭を抱えた。
なんだろう・・・・私より年下だよね?
「ちなみに何歳・・・?」
「・・・・12歳。そんなことはどうでもいいでしょ?ほら」
腕を掴まれ屋敷のパーティー会場へと連れ戻される。
行きたくないが拒否すればよけい怒らせる危険性がある。
それにもしかしたら抵抗してけがでもさせたら大変・・。
おとなしく少年の後に付いていく。
「好きな人がいるならあきらめない。 嫉妬させるくらいさせないと他の女性に取られるよ?」
「・・・・まさか、子供に言われるとは・・・。」
「夜美は私より精神年齢が低いんじゃないかな?」
「なんで、私の名前・・・?」
「息子の名前くらい覚えときなさい」
息子・・・?疑問が頭に浮かぶまえに会場の中へ入った。
皆ダンスを踊っているみたいだった。
周りの人たちがカイン様と少年に言う。
「・・・・・まさか」
「夜美一緒に踊ろう」
手を引かれダンスホールの一番目立つ真ん中へと連れて行かれる。
ダンスなんて踊ったことがない。
逃げようとするとちらりとオズの姿が見えた。
「大丈夫、ダンスは私がリードする。任せて」
・・・・これは一体どんな大人になるんだろう。
カインと呼ばれる少年の手に引かれダンスを踊った。
オズが忌々しげにこちらをみていた。
だからこちらもお返しとばかりに笑ってやった。
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