俺の周りは変な奴しかいない
***
「・・・・・・っくしゅん」
「お前は女子か!!」
鼻をすするアルベルトを唯が睨みながら突っ込む。
くしゃみの仕方が気に入らなかったのだろう。歯をぎりぎりと鳴らし、人を呪い殺せるかというぐらい睨んでいる。
そんな彼女を覚めた目でみながら、また窓の方向へと向く。
「くしゃみなんて誰だって意図しないで、でるもんだろ?」
「だからってお前のはありえない!!なんだよくしゅん!って女子か!お前の前世は女子か」
「唯、落ち着いて・・・・・・・くしゃみくらい」
「鷹野のくしゃみは・・・・べーくしょいだもんな。あーははは!!あれマジ傑作」
「よし、川村ぶっころす」
「そんな、にこやかな笑顔で言われても困るよ!!」
川村が唯をおちょくってキレる唯を翼が一所懸命抑える。
そんなこともお構いなしでアルベルトは窓をみていた。
自分より体格がでかい男、しかも複数をもろともしない少女を楽しそうに見つめる。
「あいつ、強そうだなぁ」
「あ”・・・・・・?どいつ」
川村を一発殴ってすっきりしたのだろう。アルベルトの横に立ち、窓から校門の方向を見た。
殴られた右頬をさすりながら川村も見た。
喧嘩はすでに終わっており、一つ結びのスーツを着た男が立っている。きっと先生だろう。
数人の先生によって怪我をした男子生徒を連れて行く場面がみえた。
「んで?・・・・・・どいつが強いって?」
「あいつ、ポニーテールのやつ」
「2人いるんだけど「女の方」あぁ、あのちっちゃいの」
「え!?うそ!!さっきの女の子がやったの!?」
唯の言葉を聞くやいなや顔が蒼白になる翼。
そして即座に机へと隠れた。
「翼・・・・・・ 今さら机に入ったって無意味だと思うよ」
「この学校番長とかいないと思ったから選んだのにぃい!!」
「馬鹿、どの学校いっても格差社会ってのが生まれるんだろ。安心しろ翼お前は負け犬だ」
「待ってアルベルト。日本語おかしい!!」
親指をぐっとあげ、にこやかに笑うアルベルトをみてさらに翼のテンションが下がった。
あぁ、こうなればちゃんと勉強とかすればよかった。とぶつぶつと言ってはいるが
お前は勉強してもバカなんだから無駄だと思うとはどうしても言えず唯は黙った。
「お、こっち来た。」
「わぁああああああああああああ!!きたぁあああ」
「安心しろ翼、あいつ3年だから3階まではこないぞ」
「え”?そうなの?」
「生徒手帳の規則に書いてある。靴のラインは1年から順に青、赤、緑。
あいつが履いてるのは緑だから3年生。3年の教室は2階だから平気だ安心しろ。」
ほっとする翼を楽しそうに笑いながら唯が言う。
「あ、でもあそこに立っていた茶髪の彼青だから1年生だね」
「ぴぎゃぁああああああ!!!」
「翼、お前怖がりすぎ。」
「だって、あんな小さい女の子・・いや先輩がガタイのでかいやつを圧倒してたんだよ?!
俺でも無理なのに!!見た感じその先輩と知り合いっぽそうだし!」
「女子なら股間狙えば一発じゃね?」
「唯はしたない。」
アルベルトがため息を出すと同時に放送が入った。
どうやら入学式の準備が出来たらしい。
「椅子を持って体育館か・・・・あれ?そういえばまだ市ノ瀬来てないよね?」
翼はきょろきょろとあたりを見回す。
Aクラスには市ノ瀬の姿は見えなかった。
「あぁ、市ノ瀬?今頃保健所じゃない?「ほ、保健所?!!」」
「昨日さ、私の家に侵入してハァハァ言いながらクローゼットの中入ってたの。
ぼこって亀甲縛りにして保健所の所にゴミ袋に詰め込んで置いてきた」
「せめて警察に連れて行って欲しかった!!!」
「市ノ瀬かわいいよなー」
「ローザなら警察にいるぞ」
「Σうぇえええええええ!? まさかの警察いってる人いたぁあああああ。ってかなんなの
クラスメイトがいきなり警察いきってなんなの!!?」
「昨日ローザがオレの寝室に入ってきたから殴って警察に突きだしてきた」
「アルベルトさんもっと女子に優しくしてあげて!!」
「ローザちゃんも可愛いもんなー」
「寝ている人の寝首かこうとしたやつを優しく・・・・・・?残念だがオレはスイーツにしか甘くねえぞ」
そう言ってアルベルトがにやりと笑う。
(…… ってうわぁああああああ、何かみてはいけないもの見ちゃった感が!裏ポケットに拳銃らしくものがあるぅぅううううう!!
見てない。オレは何もみてない。まだ高校生活ライフ1日もたってないんだぞ!
青春の青の字も体験してないのに不登校になってたまるか)というのをごくりと唾を飲み込んで抑えた。
「うっ・・・・・・ っごほっげほっ」
「何、ひよこ君風邪?」
「何か今から吐血しそうなんだけど、唯オレどうしたらいいの!?」
「救急車呼ぶか」
「だから待って携帯やめて!!さっきちらっと画面見えた。何ミシェルって何!!?」
アルベルトから携帯を取り上げ叫ぶ。
そしてアドレス帳はどれも危ない名義でいっぱいだったはきっとオレのきのせいきのせいと翼は
やけになりつつ突っ込んだ。
「安心しろ医者の免許はあるぞ「普通に市立病院にいかせて!!」」
「そうだぞ!アル」
「川村・・・・」
「呼ぶならかわいこちゃん呼べ!そして俺に紹介して!!」だと思ったよちくしょう!!
翼はガンガンと柱に頭を打ち付けた。
涙が出て血が出ただけだった。
「お前にはまだ早い」
「そういう問題じゃねぇえよ!!」
「やばっ他のクラスメイト誰もいない。ほらっ早くいくよ」
唯の言葉によりアルベルトたちはそそくさと教室からでた。
川村が教室に出るとき親指を立ててこう言った。
「ぶっちゃけ、女子なら全員範囲内」
とてもすがすがしい顔で言われたのであぁ、こいつマジ終わってると翼は思ったのだった。
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