企画 | ナノ


want


※注意書き!!
■立夏のヒロ様執筆キャラクター“アルベルト”と我が子“中原歩実”のコラボ
■R16くらい
■教育上よろしくありません
■流血表現あり
■死ネタあり
■ヤンデレ
■中原歩実が狂ってる(通常運転)
 苦手な方は閲覧をお控え下さい。

 
















 ……つまりの所、私は意外性が好きだったのか。

 今まで、生きてきた中で考えて考えて考えて考えて考えて考えた。私が何故一部の人間には普通に接せられるか。

 人間は嫌いだ。
 だけど、別に復讐だの恨み等は等の昔に消え去った。……あれだ。絶対食べられない嫌いな食べ物だ。
 だけど、そんな食べ物だって様々な品種がある。その一部が口に合うだけの話だろう。あとの品種は、捨てるのも勿体無いので……カボチャで例えるなら、ランタンにしますね。あのカボチャをくりぬいて作ったランプですよ。正式名称、ジャックランタン。別名堤灯ジャックです。私がそれを持っていたら、ある意味お似合いでしょうね。

 まぁ、だから美味しい品種はイコール意外性なのかなと思ってきたり。違うかもしれませんし正しいかもしれません。

 まぁ、その前置きは置いておいて。

 私、すっごい意外性のある人見つけました。

 今までどんな人間が美しいとされるものを見てきましたが、醜いとされるものも見てきましたが、大体のものは心揺るぐことなんて無かった。

 でも、今回は違います。

 あの射抜き殺しそうな鋭い眼光。全身は黒に包まれていますが、時折見せる白い肌が赤く染まった瞬間とか、何よりも、何よりも彼の薄い唇から溢れ出す低音の興味深い言葉の数々。

 胸が高鳴る。頬が熱くなる。
 楽しい、嬉しい。
 聞きたい、見たい。

 貴方の全てを意外をもっともっともっと!


「だから、私……考えたんですよ。貴方にとって何が一番“意外”か」

「…………」

「それをしたら、私は世界で、否……宇宙で最高な幸福者になると思うのです!
 だから死んで下さいっ」


 ……あらゆる国の軍部長官等と仮契約してよかった。
 凄まじい数に囲まれるアルベルトさん。アルベルトさんは何時もと表情も雰囲気も変えずに、はぁーとため息をついて、自分のこめかみに銃を突きつけた。


「バーカ」


 ズドンと鳴り響いたけたたましい銃声。兵士はたった今、私が暗示させた“世界規模の危険人物”が自殺したことに、感激し、互いを抱き締めあった。

 最後まで、彼は斜め上の存在だった。
 そして、私は最後の最後に、笑えなかった。

 凄まじい消失感。
 たった今、私は目的を達成したはずなのに、この虚しさは何だ。この、どうしようもない痛みは何だ。本来ならたくさんたくさん喜ぶべき状況なのに。

 しらないしらないしらない。こんな感情知らない。

 足取りが定かでは無い中、紅い溜まりの中心で、やっぱり安らかに眠っているアルベルトさんは意外だった。普通目、開いてますよ。

 そっと彼の血を顔や全身につけてみた。ごしごしと彼の肌に彼の血を擦り付けた。これも意外。彼ではあり得ないこと。

 真っ赤になった私の両手に、何かが流れて、ジワリと深紅色に染まった。それに気付いた瞬間に、私は自分が泣いていることに気がついた。


「……あ、アハハ。涙とは人間が、悲しい時、同情する時、恐怖が頂点に達した時に溢れ出す生理的現象……安心した時にも、時折溢れ出す……」


 安心も、同情も恐怖も、多分していない。それが正しい感情か分からない。だけど、少なくとも人間の医学と心理学上は正しいはずだ。
 なら、私は……悲しいのか? アルベルトさんが死んで、私が殺しておいて悲しい?


「……分かりませんよ、まともな感情さえ分からないのに……こんな……」


 真っ赤になった手で目を擦ったからか、目はある意味真っ赤になった。そして最期に、アルベルトさんとは絶対しないだろうことをして、私は彼の身体のみを再生させた。



死体、慕い、キスシタイ


 嗚呼、貴方は生き返らない。
 最後まで……貴方は私に意外性を見せてくれましたね。
 この瞬間は、私……一生忘れることができそうにありません。



prev / next

[ 戻る ][top]



- ナノ -