とある幽霊観察
人間は観察対象。
今も昔もそれだけは変わらず今日も私はそこに立っていた。
ジオさんの精神世界と言った方が簡単ですかね?この場合。
幽霊という者は思念帯、つまりは思いで作られているって誰かに聞きました。
まぁ、その人もとうの昔に死んで確信はしていなんですけど。
ジオさんも例外ではなく、その思いがなくてはすでに消滅しているんです。
消滅と言うよりは成仏と言った方が聞こえがいいですね。
成仏と言う事にしときましょう。
いや、イタリアだとなんていうんですかね?
まぁ、この際いいでしょう。
ちょこんと足を出し、歩き出す。
足から波紋が広がる。周りはすべて真っ白、地面は空色の水で私の目の前には全身黄緑色の木が生えていた。
ゆっくりと近づき、木に寄りかかる。
視線の先にはジオさんが寝ていた。
彼の髪を軽く触る。ふわふわと絹のように柔らかい。
「寝すぎですよ、ジオさん」
私はため息交じりでそう呟く。
ジオさんはすーすーと寝息しか立てない。
そう、彼が死んで100年後くらいでしょうか?
レンって言う子が死んでから彼は自分の殻の中に閉じこもり。
ずっと眠っている。
現在20・・・・いやここで数字を言っても意味がないですね。
つまりはシバの子孫である真也という少年の生きてる時代と言った方が適切でしょう。
そう、ここでずっと寝息をたてて眠っているのだ。
シバが時々きて世話をしているみたいですが起きる様子が全くないようです。
毎回落胆しながら私に話しかける苦労も考えたらどうなんでしょう?
むっとしてデコピンをする。
ジオさんは小さくうめくと、また寝息を立てる。
ジオさんの精神世界は真っ白で彼の性格を表しているようだった。
無垢で、優柔不断。いつまでも続く青い空の水はそれを表現しているようだ。
そして、ジオさんの影がおそろしい怪物の姿をしている。
呼吸はあらく、彼?も眠っているようだった。
オズという人が書いた物語がここでも影響しているんですか。
つくづくジオと言う人間の思考回路が理解できない。
彼が父親に何をされたのか?
どうしてあそこまで女にだらしがないのか?
なんであんなにバカなのか?
1つ気になれば全部気になる。
だから人間観察はやめられませんね。いや、これはもはや幽霊観察?
いや怪物観察と言った方がいいのか。
シバの孫にあたる夜美、真也とまた違った意外性ににやりと笑い。
唾を飲み込む。
「観察も楽しいですが私飽き性なんですよ。
もっと刺激が欲しいんです」
語りかけるように、そっとつぶやく。
「ジオさんの大切な物壊せば怒り狂って起き上がりますか?
それとも泣きだして目覚めますか?
つまらないんですよ。
シバもジオが起きないとつまらないといつもぐちぐちいって
私の迷惑も考えてくださいよ
早くしないとアルベルトさん壊しちゃいますよ?
いいんですか?」
つらつらと思いのはけをぶつけジオさんの顔を両手でつかむ。
さらさらと金髪がゆらる。
「起きろバカジオ・・・」
そう言って抱きしめた。
つまらない、あぁつまらない。
しゃべらない貴方なんてつまらない
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