アイデンティティの崩壊
夜美が分裂した・・・うんそれは別にいいよ。
2人になったということは悪戯し放題ってことでしょ?
うん、楽しそうだね。何をしようかと普段の僕ならそう答える。
しかしやっかいな事に2つにわかれたことでほめ殺し夜美が誕生してしまったという事実である。
喧嘩、殺戮夜美はまだいい・・・いやむしろこっちの方が普段のあいつっぽいし。
だが、しかし今僕の腕をひっぱって離さないのがほめ殺し夜美である。
「もっとぎゅーってしたい!」
「はぁあああ!?ふざけるな!なんで私がこいつをぎゅーってしたいって思う訳!?
ありえない!!オズとりあえず死んで!!」
「は?なんで僕が夜美が一緒に死んでくれるならいいけど?」
「ふざけんな!!くそオズ!!」
「オズ、やだ私のこともかまって」
右に夜美、左に美夜。え?なにこのハーレム?
って思うかもしれないが結局どちらも破壊神。
人である僕の体の事情なんておかまいなしで骨を折らんばかりにひっぱりあいをしてくる。
これは赤面すればいいのかあざ笑えばいいのか自分の不幸を嘆けばいいのか
さっぱりわからない。
ってかわかりたくないねこれは。
「オズは私の事嫌いなの?私は好「わぁぁああああああああああ!!
聞きたくない!!私の声体でこのくそオズ好きだなんて絶対聞きたくない!!」」
「言ってるじゃない、君が」
「ちょっと私が言いたかったのに!!」
「っつ・・・!!?言ってない!!絶対言ってない!!間違っただけだもん!
違う!!こんなやつ大嫌いだ!!」
顔を真っ赤にさせる美夜。
全然怖くないけどその手に持っている包丁をどっかに置いてほしい。
夜美がだめって止めに入るけどそれでキレたのか2人の夜美が本格的に喧嘩という名の殺し合いをし始めた。
机を這い出て教室の出口すれすれまで逃げる。
まぁしばらくしたら落ちつくだ「おい解毒剤作ってやった」
僕の足に竹松がひっかかり手に持っていた薬品を頭から浴びせられた。
△▽
「あ・・・・・」
竹松が小さく声を出した。
私と夜美がその光景を茫然と見る。
オズと言えばべっとりついた薬品を気持ち悪そうにしていたかと思えば泡を吹いて倒れた。
「え?!オズ!!」
「・・・ははざまーみろ!!私をバカにしたからだ」
「美夜だまって!!オズ大丈夫!?」
オズにかけよって抱き上げる。
頭を揺さぶると小さく呻き声が聞こえるから大丈夫だろう。
ほっとしたかと思えばかっとオズが見開き、私の手を払いのける。
そしてぷるぷると震え出し顔がすごく赤い。
「ちょっと大丈夫?保健室いく?」
「オズは変態だからそれくらい平気だよ。
むしろ私が殺し「ちゃだめ!!」・・・ちっ」
「・・・せん」
『・・・へ?』
「すみません、僕の為に気づかってくださって。
ただ、夜美さんと一緒にいるとどうもドキドキしてしまって
あんな態度をとってしまい・・・ほんとうごめんなさい。」
私と美夜が硬直した。
え?・・・・は・・・・?
オズが変だ。
敬語なんて一度もしたことがなかったのに
そして表情といいあのいつものニヤニヤした変態みたいな顔はどこにいったのか
年相応の顔立ちをしており笑うと好青年にみえる。
かぁっと顔が赤くなり、顔を下げた。
・・・・え!?なにあれかわいっ・・・
ちらりと美夜をみると思考がついていけず停止していた。
呼吸を整え竹松に尋ねた。
「解毒剤って言ってなかった?」
「どうやら、別人格を作る薬品を作ってしまったみたいだ」
「うぉい!!」
「オズベルトの場合ゲス部分がなくなって元の人格が出てきたという感じだな
研究してもいい「だめ!!」」
「オズしっかりして、いつものゲスで変態でニヤニヤしててエロ爺なオズはどこ行ったの!?」
「あの・・・そのことなんですが夜美さん。
僕たち恋人同士ですよね?」
がっと肩を掴まれまじまじと見つめられ赤面する。
これはまた違った意味でドキドキする。
私はこくこくと首を縦にふることしかできない。
「あぁ、よかった・・・解毒剤が出来なかったらどう責任とろうかと思って・・・・
夜美さん、美夜さん2人は僕が幸せにしますね?」
『・・・へ!!?』
「こうみえても僕甲斐性はあるんですよ?くすくす」
ニコニコと笑い突然プロポーズ?をしてきたオズに私たちは茫然と彼をみつめた。
こんなことなら下種の方がまだましだったかもしれない!!
恥ずかしすぎて死にそうだ、心臓がどきどきと破裂しそうな感覚に気絶しそうになった。
prev / next