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::If史織の人生



とある研究者が、私を金に換えた。一定期間の契約期間。それを終えた頃には私の体は汚れていて、手には大量の紙幣。そして、私を売った研究者が赤い地面に倒れていた。お父さんが拳銃を片手に、私を無表情で見つめてる。
私は化け物になれなかった。お父さんの力になるには、私がお父さんに必要にされるには、これが一番いいのかもしれない。そうして、お父さんに紙幣を差し出した。だけどお父さんは「いらない」って背中を向けたんだ。
私は、何のために生まれたのかわからなくなった。
わたしはどれだけけっかんひんでもおとうさんがわたしをそだてようとしてくれたわたしはおとうさんにひつようとされているとおもったのにおとうさんまでわたしがいらないのかわたしのそんざいかちはないのおとうさんわたしはどうしたらいいのおとうさんこっちみておとうさんいやだ。

……生きる希望も目標もなくなり、私は家を飛び出した。お父さんに迷惑をかけられない。さ迷う私を拾う男は容易に見つかり、私は渡る渡る男に体を扱われた。感情はともわない肉欲だけの関係は、私の冷えきった心を溶かさなかった。
しかし、ある日、前に私を拾った男が私に求婚してきた。呆然と首をふる私に、今の飼い主がその男に組かかる。醜い争いの末、男達は最終的に死んでしまった。毒を盛られた男と、殺し屋に殺された男を目の前にし、私の胸はあつくなったのだ。
私が、何者かを破滅に追いやった。こんな非力な私でも、欠陥品でもお母さんみたいに何かを壊せた!喜びのあまり、私ははじめてお腹をかかえて笑ったのだ
それから、どんどんと男から金をふんだくり、そのかわりに甘い蜜を吸わせ、私に魅了させ、狂わせる。壊れ行く男に私はほくそ笑みを浮かべた。どんどんと消えていく男共。はじめて生を体感できた。
しかし、ある日知り合いに見つかってしまった。男は私を叩き、涙を流す。情に流されやすい男を食うほど、私は悪魔になれきれていなかった。
男は、私を組織で管理することにした。優しすぎる男だった。だけど、無下にはできない。私は、刻に迫る再会に恐怖した。
そして、私はお父さんに再会すり。私も、お父さんも何も言えなかった。だけど、久しぶりに聞いたお父さんの言葉は、私の救いだった。珈琲がのみたい。それだけだったけれど、何かが救われた気がしたんだ。

――それから、私は自分の激情を組織で満たしながら、父の元で働いている。

▼▲

あの男に出会ったのは、父の元に帰ってすぐ位か。優しい男に関わるなと言われた赤髪の男。鋭い目付きの先が気になる男だった。私の視線に気がついたのか、不敵に笑みを浮かべて手招きする男。男の危うい雰囲気に惹かれるように、私は男の元に歩み寄ってしまった。
そして、私は男に抱かれそうになった。抱かれているのに、宙に浮いた感覚に高揚していたら、男が狂喜の笑みを浮かべ、私にナイフを向けてくる。
はじめて私が死んだ。そして、私は生き返った。男が笑いながら私を傷つける。私は激痛の中、絶叫のような笑い声をあげる。最高のセックスだった。
バケモノにしてくれたバケモノ。私は男に興味を抱き、男をサポートし始めた。彼の歴史に私が絡むことは、私の喜びだった。
だから、私は彼とある。
なりたかったものになれた喜びを。
それでも父に興味を持たれなかった憎しみを、彼に向けていたのだ。


2014.10.23 (Thu) 16:45
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