カゲプロ | ナノ



※密室ゲームパロ
死ネタです。セトさん、ごめんなさい。いきなり二日目です。
マリー、モモ→同室で寝る。
キド
カノ
セト→二日目の朝、ごめんなさい。
シンタロー
エネ→初日に電源が落ちる。
コノハ
ヒビヤ



長方形のテーブルを囲むように席につく。重苦しい空気は誰も口を開こうとしないからなのか、それとも明らかに昨日より空いている椅子を見てか。
気まずさに俺はマリーが置いてくれたティーカップに視線を落とした。中身は普通の紅茶、種類は分からないが甘い香りにすっと気が安らいだような気がした。
「昨日の夜、最後にこの部屋を出たのは誰だ?」

キドがそう切り出すとぴし、と空気が固まった。
カノがゆっくりと手を上げる。
「僕だね、僕とシンタローくんとセトとで話してた。途中、シンタローくんが部屋に戻って、それからセトとどうにか扉を破れないか話してたんだ。んで、時計の針が二時を回るのを見てそれぞれ部屋に入った。セトは確実に部屋に入ったよ」
僕の発言を信じてくれるならね、とカノは揶揄するように付け足す。ぐんと部屋の空気が重くなるのを感じ、さっと口を挟んだ。
「じゃあ逆に聞くが、今朝一番に起きてきたのは誰だ?」
「……私です」
青白い顔でマリーの横に座っていたモモがおずおずと手を上げた。
「マリーちゃんが寝苦しそうだったので水を取りに行こうと、大体六時くらいに。それで……っ、」
言ってから、自らが見たものを思い出したのかモモは更に青い顔で口を覆う。咄嗟に隣に座るマリーがモモの背に手を当てた。マリーの目は能力とは別に赤く、腫れている。
それを見たカノが不機嫌そうにもういいんじゃない、とぶっきらぼうにキドに言った。カノがキドにそんな口を聞くのは珍しいが状況が状況、カノも疲れているのだ。こんな状況下でぐっすり休める方が可笑しい。
モモだって普段なら決して起きてこないであろう時間帯に起きていた。けれどモモの目の下に刻まれた隈を見て誰もが納得するだろう。誰も彼もが変わらない。
きっと皆同じ時間帯に目が覚めていたはずだ。なのにモモの悲鳴を聞き付けるまで誰も出てこようとはしなかった。我先に出てしまうことで自分が被害者や加害者になることを恐れた。だから悲鳴を聞いた時、無意識に思ったはずだ。自分は目撃者なんだと。悲鳴を聞くことにより自身の安否を確信した。
「だが、」
キドが粘る。常ならばカノは肩を竦めながら仕方がないと折れただろう。しかしカノはキドに賛同するでもなくキドを睨んだ。
「キドはさ、こんな刑事みたいなことしてるけど、まさか僕らの中に犯人がいるとでも思ってるわけ?」
「そんな、こと」
キドがぐっと言葉を詰まらせる。ないとは言い切れない。信じたい、けれど状況が許さない。他に誰がいるのだと。
「とりあえず、マリーとキサラギちゃんを休ませよう。ほら、ヒビヤくんも一緒に」
カノが立ち上がり、三人を促す。今まで黙っていたヒビヤが不安そうに顔を上げた。コノハは迷うようにカノとヒビヤの間を行ったり来たり。
「カノ、別行動はさすがに不味いんじゃないか」
止めるとカノはふっと笑った。何時もの嫌な笑顔じゃない、疲れたような笑みだ。こいつも例外ではなかった。当たり前だ。最期に一緒に居たのはカノだったんだ、気にするなと言う方が間違っている。
「シンタローくんは優しいね。でも僕にも考えがある。多分、」
そこでカノは言葉を区切った。それから擦れ違い様に小さく耳打ちをした。ぎりぎり回りには聞こえないであろう音量で。
≪××は白で、もう一度××を見て、××は×××××いよ≫
「え、」
「疑わしきを消せ、最期に残ったのが犯人だって言うじゃない。ぶっちゃけそういう意味じゃ、不謹慎だけどセトが一番だったんだけどね。でも、彼奴は嘘がつけない質だったから」
そう言ってカノは寂しそうに目を細めた。
「探偵ごっこの会場にマリー達は似合わないよ。本当なら、」
キドだって。
最後までカノは言い切らなかったが俺にはそう言っているように思えた。



書きながら次はカノかなって考えてました。




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