カゲプロ | ナノ


◎セトシンセト、私の中のこのCPの受け攻めは凄く曖昧。
 ロスメモ妄想みたいな。



「あのさ、シンタローさんっていうの止めない?」

 シンタローがセトに初めてそう言ったのはメカクシ団に入って数週間が過ぎようという時だった。

 互いのことも段々と理解していき、セトの気さくな性格が効を成したのだろうセトとシンタローが一括りに数えられるようになるのに大して時間は掛からなかった。だが、シンタローは自身がセトを名前で読んでいるのにセトが何時までもさん付けであることに不満を抱いていた。
 シンタローが最初にそれを指摘した時、セトは笑って誤魔化した。


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「シンタローさん、バイト行ってきます」

 セトは緑のつなぎの前ボタンを締めながら言う。セトの趣味はバイトといっても過言ではない。最近ではシンタローも感化されたようにセトと同じファミレスのバイトを入れてみたが、セトのように趣味に出来そうにはない、と金稼ぎとして割り切っている。別に大して面白くないバイトを続けているのは単純にシフトが被ると喜ぶ奴がいるからだ。
 バイトが趣味のそいつは今日もまたバイトで、シフトが被ると喜ぶくせに私生活ではそんなに頓着しない。全く一緒に過ごす時間なんてあったもんじゃない。シンタローは携帯から顔を上げ、セトの方を向くと軽く手を振った。

「おう、気を付けてな」

 セトはしかしそこで頷くでもなく顔をしかめるとシンタローの方に屈み込み、じっと睨めつける。不満がありそうな顔だ。シンタローが怪訝そうな顔を向けるとセトは拗ねたように頬を膨らませる。

「なんか、冷たくないッスか?」
「はぁ? 別に普通だろ」

 セトはいや、と首を振った。何が言いたいのだろう、俺は行ってきますと言われたから送り出しただけだよな。それの何処に問題があるんだ。

「ほら、シンタローさん、全然分かってないじゃないッスか」

 分かるも分からないもこの質問に答えがあるとは思えない。シンタローはセトの理不尽な言葉に腹立たしさすらも感じられた。

「俺はお前の家族でも兄弟でも、まして恋人でも夫婦でもないんだ。言わなきゃ分からないことくらいある」

 セトはぐっと言葉を詰まらせる。セトの良いところはそこで無理な反論をしないところだ。駄目だと言われたら止まり、理由を述べたら納得する。我が儘なようでいてセトはずっと物分かりが良かった。
 だからシンタローの言葉に対してもセトは何故分からないのだと怒ることもなく、じゃあ言わせてもらうッスけど、とやや不貞腐れた顔で続ける。

「バイトまでまだ時間があるから一緒に歩いていきたいッス。出来たら帰りも一緒に帰りたい」

 やっぱり言わなきゃ伝わらないことではないか。シンタローは呆れながらも立ち上がり、律儀にセトにちょっと待ってろ、と指示を送った。


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「キサラギ先輩」

 年上だから、と彼は言う。体育会系宜しくな体格から分かっていたが、どうやらこの男は根っからの体育会系であるようだ。年齢にはうるさそうだの上下関係は縦社会なんだろうなだの下らないことばかりが頭を過ったが生まれてこの方スポーツと後輩にはとことん縁がなかったせいか、自身よりガタイも身長も上の男に先輩と呼ばれるのはくすぐったいものがあった。

「先輩は恥ずかしいから止めろ」
「じゃあ、キサラギ、さん……?」

 疑問符。これならどうだと試すような瞳には申し訳ないが名字で呼ばれるのも何だか違う気がする。何故なら。

「それじゃ、モモと被るだろ。名前でいいよ、下の名前で。カノもそう呼んでるし、キドなんか呼び捨てじゃないか」

 あ、先輩は駄目だからな。先手を打つように言うとセトは困ったように視線をさ迷わせる。案外、人を名前で呼ぶのに慣れていないのかもしれない。
 セトは暫し黙り込んでいたが、やがてゆっくりと顔を上げると頬をやや薄紅色に染めた。

「……し、シンタロー……、さん」

 さん付けは柄じゃない。そう断ってしまおうかとも思えたが、セトの耐えるような顔を見て、まあ最初はこんなもんだろ、と一人頷いた。


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シンタローって名前呼びにさせるまでやりたかったけど、CPが続かん……!
シンタローが世界をやり直して関係をリセットしたらセトも例外ではなくて、がっかりしてたんだけど二回目以降のセトは本文中の先輩イベントすっ飛ばしてシンタローのことをそのまんまシンタローさんって呼んでたりして。お前やっぱりなって呆れながらも嬉しいシンタロー。けど二回目以降セトはシンタローのことを呼び捨てにはしません。やり直すことを選んだケジメってことで。

今はちょっとアヤノを絡めて考察練り直したんで、この設定は使わない予定。





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