カゲプロ | ナノ




ゲスいセトカノ



「カノはこうやって、誰にでも股を開くんスね?」

セトの分厚い手が太股を撫でるように這う。ベッドに押し倒されている僕の手は紐のようなもので拘束されていて、その手から逃げることはできなかった。
いや、逃げるつもりはなかったのかもしれない。
セトはああ見えて処女にしか興味ないし、本命はマリー。僕に脈なんてなかった。
ずっと一緒にいたくても突き放されるのが怖くて、だから、これは好都合だったのだ。
そんな僕の無抵抗を何と解釈したのか、セトは苛立たしそうに舌打ちをする。

「…ビッチが、」

萎えたのかもしれないと思ったけど、そんなことはなく、セトは嫌な笑みを浮かべると、

「きっと淫乱なカノのアソコはがばがばで緩いッスから、締め付け方を教えてやらないとっスね。あ、もしかしてローション無しの方が締め付けいいんスかね?」

嗚呼、明日は起き上がれないかもしれない。
潔く力を抜いて、跨がっているセトの尻を足で蹴りあげてやる。

「ご託はいいから、抱くなら抱くで早くしてくんない?」





セトカノ×kiss



カノは無防備だ。だから、たまに不安になる。

「カノ、」

ソファーに腰を掛けながら雑誌を捲るカノに声をかける。

「ん?」

横から見たカノの何だかうなじが眼の毒だったので振り向いてくれて助かったけど、首を傾げる仕草に正直ムラッとした。

「んぅっ!?」

衝動のままに唇を強引に塞ぐと、カノは目を見開き固まる。驚いて、半開きになっていてくれた口に舌を入れると状況を理解したカノが慌てて肩に手を掛けてきた。
もちろん、無視。

「んんー!ぅんんっ!…ぁっ!」

角度を変えながら何度も舌を絡ませ、そのままソファーへと倒れ込む。
口を離すとカノはバッと口を手で隠し、キッと強い視線を投げ掛けてくる。

「ど、どこで盛ってるんだよ!」

涙目で、息だって荒い。肌は上気していて、ラフな私服のせいで鎖骨がチラチラと見え、男としての本能を刺激する。
はっきりいって、誘っているとしか思えない。
無言の笑みを携えたままカノの手を退かし、再び煩い口を塞いでやった。



セトカノ監禁ネタ没



「カノ、起きてくださいッス」

カーテンの閉め切られた暗い部屋の中に存在するのは簡易なベッドのみ。
テーブルも椅子も、箪笥も何もない。生活感に欠けた部屋のベッドで寝ているのは大好きなカノ。
目には真っ白な布を巻いている。今日も交換してあげなきゃッスね。
部屋の壁に掛けられた鍵を手に取り、ベッドのパイプを見る。
ベッドのパイプ部分には鎖が繋がれていて、その鎖はカノの足へと伸びている。一度、逃げようとした時に付けたものだ。
あの時は真っ青な顔をしながら必死に謝ってくるものだから、つい限度を忘れて遊んでしまった。ぐったりと動かなくなるカノには庇護欲を掻き立てられたものだ。

「カーノ?最終通告ッス、五秒以内に起きなかったら媚薬飲ませて放置。ごーよーんさーん、」

優しい声で囁けば、ビクッと身体を震わせカノが飛び起きる。

「よし、起きたッスね」

カノの反応に満足しながら頭を撫でてやろうと手を伸ばす。が、触れようとした時、カノが微かにひっと声を上げたので予定変更。撫でてあげないッス。

近くに置いてあった水差しを手に取り、頭から水を被せてやる。
本当は殴りたかったけど、それをやると怯えて大変なことになるのでやめておく。
調教っていう意味じゃ、それが正しいんだろうけど傷つけたいわけじゃないから。
大切にしなきゃいけないから、もっともっと守らなきゃいけないから。

「あ、そうッス!今日はカノに朗報があったんスよ!」

明るい口調で言うと、見るからにカノが警戒していたが、

「その足枷、外してあげてもいいッス」

アメをあげると、ほら、すぐに食い入るように見てくる。そんな現金なところも大好きッスよ。
余さず残さず骨さえしゃぶり尽くしたい。

「実は最近バイト先の先輩から薬貰ったんスよ」

薬、という単語だけでカノの顔色がサッと青くなる。
まぁ、今まで散々媚薬で遊んであげたので仕方ない。でも、今回の薬にはそういった効果はないので期待されても申し訳ないだけなんだけど。
「足枷、いい加減痛いでしょ?」
カチャ、と小さく鎖が擦れる。そこに指を這わしてやるとカノの身体がきゅっと強張る。
「痛いの? 痛くないの?」
金属が擦れて赤くなった足首に爪を立てて言うと、カノは小さく「……ぃ、いたい」と言った。

「そう、ちょうど良かったッスねぇ」

何がちょうどいいのか? そう問いかけてくるカノの視線は無視して懐から小さな薬品の入った瓶と針を取り出す。消毒液に浸した脱脂綿で針を拭い、そして瓶の中の液体を入れる。
それを片手にカノの関節を上るようにして太股に脱脂綿を押し当てるとカノがカタカタと小刻みに震え始めた。

「……ぇ、や……せ、せと、それ、なにっ」

震えるカノの頭を撫でてやりながら笑いかけてやる。これは救済である。
カノを自由にしてやる為の手段であり、また俺だけのものにする為の策である。

「これッスか? これは、カノの足を綺麗なまま動かなくする薬ッス」

ほら、足の健を切るにしても傷痕って残るじゃないッスか。
それに歩けないカノが俺にすがってくる、そんな構図が堪らなくそそる。

ニィ、と嫌な笑みを浮かべているであろう俺を見ながらカノは真っ青になった顔を横に振った。

「抵抗しないでほしいかな」
「…………っ、」

崩さない言葉にカノは酷く弱い。今だってそうだ。
先ほどまで震えながら嫌だ嫌だと首を横に振っていたのに、今はぎゅっと固く瞳を閉じている。

「ありがと」

大好きなカノの額に優しくキスを落として、針を柔らかな太股に突き刺した。
ぷつ、と滑らかな肌を押した針がどんどん下に潜っていき、液体を注入して外に出る。小さく空いた穴からは赤い液体が溢れて、情事を思わせた。
カノの固く閉じた瞳からポロリと滴が落ちるのを見て、その赤に舌を這わす。

「カノ、これでもう俺から逃げられないッスよ。だから、枷くらいいくらでも外してあげる」

だって、これは最上級の首輪なのだから。



―――――……






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