カゲプロ | ナノ



※ピクミンパロ



俺、如月シンタローは何処か謎の星の謎の生命体を引き連れ、壊れた船のパーツを30日以内に集めるという任務を執行していた。
もともと俺は自称ヒキニートで決して外には出ないのだが、とあるウイルスにより日常生活に必要な機械を破壊され、否応なしに外へと出されたのがきっかけだ。
その機械というのが俺の星では手に入らなく、また通信販売も予約でいっぱい。最低でも二週間は掛かると言われた。そんな長い期間我慢できる俺ではなく、仕方なく外に出ることにした。
そして帰り足、隕石の爆発に不運にも巻き込まれた俺は謎の星へ。その衝撃で船のパーツが飛び散り、更に星に蔓延する有毒ガスの影響を考えたら30日以内に星を出ていかなければいけないことが判明。

ピンチな俺は焦って外に出たのだが、そこで謎の生命体と遭遇する。

その謎の生命体というのは、ピクミンと呼ばれる半動半植物のような奇妙な生き物。ていうか、俺が昔やったゲームにそっくりだったから勝手にそう呼んでいる。
俺の膝下にも満たない小さな体はこれ以上大きくならないらしい。
更に謎の生命体と言われるに当たって書かなければならないことはコイツらの頭だろう。別に凄く頭が悪いとかそういう意味ではなく、頭から変な触角のようなものを生やしているのだ。
触角の先には葉が生えていて、葉から蕾、蕾から花へと大きく分けて三段階で変化していく。これがコイツらの言うところの成長というものらしい。

俺がこのピクミンと呼ばれる生命体と関わりを持つようになって早3日。俺もだんだんとコイツらのことについて分かってきてきたつもりだったが、イレギュラーが生じた。それは、

「ねぇ、シンタローくんってば、聞いてる?」

そう、このピクミンは何故か言語を取得していたのだ。
そんな製作秘話聞いたことないし、攻略本にも乗ってなかった。それとなく訊ねたら疲れてるんだよ、なんて逆に心配される始末。
おいおい、ふざけるなよ。どうして俺が可笑しいみたいになってるんだ。
しかも、量産できないからかなり不便。100匹並べる俺の夢はどうなる。

「聞いてる聞いてる、なんだよ」

足元に視線を落とせば、新種のピクミンと思われる生物、カノ。
本当は今すぐにでも政府に突き出して奨励金をもらいたい。でも、それができないのは、機械が壊れているから。
嗚呼、早くこんな星から脱出して家でゲームやってアニメ見て曲作って昼までぐっすり寝たいよ、俺は。

「あのさ、シンタローくん」
「なんだよ、用があるなら早く…」
「セトが食われかけてる」

カノが指差す方向を見るとそこには、チャッピーにがぶりと頭を呑み込まれかけている緑のつなぎを着た、カノとはまた違った種類のピクミンであるセトがいた。
隣にはあわあわとしているピクミン、キド。
とてもシュールである。

「って、お、おまっ…!なんで、早く言わないんだよ!もうセト食われかけてんじゃん!」
「さっきからずっと言ってたじゃん!」

うわぁうわぁ!エグい!
急いでキドのところまで走る。

「し、しんたろー!早くしろ!セトが食われる!」

俺に気づいたキドが助けを求めてくる。
いや、お前は、

「キドは能力を使え!チャッピーの死角を突くぞ!カノ、投げるから歯食い締めろ」
「えっ…あ、ちょっと止めてよ!あれ、地味に痛いんだから!」
「うるさい!セトが死んでもいいのか!問答無用!!」

身を屈め、カノの触角を掴むとチャッピーまで一直線。ちなみに俺の身体能力は底辺なのでカノはチャッピーまで届かず、地面に無惨にも落下していく。
受け身を取ったらしいカノは何とか衝撃を殺しながらチャッピーの腹の下に潜り込んだ。

あとはちまちまとチャッピーにダメージを与えていくだけ。
途中、ペッと吐き出されたセトも手伝い、今日の狩りが終わった。




「今日は本当に死ぬかと思ったッス」

帰り道、重いチャッピーを四人がかりで運びながらアジトへ向かう。
セトはチャッピーの唾液にまみれた衣服を気持ち悪そうに見つめながら呟いた。

「シンタローくんも大分成長したよね、まだ三日間目だけど」
「最初は『おいっ…ヤバイだろ…死んじゃう…このままだと、死んじまうよっ!』って必死になって助けてたッスからねぇー」
「それが今じゃ、『投げるから歯食い締めろ』だよ?」
「シンタローも成長するんだな」

ピクミンたちの謎の反省会(?)。反省してないことだけは確実に分かる。
俺は手前にあったキドの頭を軽く叩くと、

「お前、おどおどしてたろ」

「なっなななっ!?違う!違うぞっ!あああ、あれは!ちょっと足が痺れてたんだ!!」

分かりやすく焦るキドに小さく笑った。



「いや、シンタローくん。僕らがチャッピーを三人がかりっていうのは分かるけど、君が僕らと協力してやっとっていうのはヤバくない?」


聞こえない。

お前はどんな悪魔だ。
少しは平和に終わらせてくれよ。

「そ、そうだよなっ!可笑しいよな!」

そして凄い笑顔なキド。お前、このやろう。

「あはははは!仕方ないッスよ、シンタローさんはインドア派の究極系みたいなもんスから」

それ、フォローになってねぇよ。


拝啓、親愛なる×××様。

俺、変な星で頑張ってます。



―――――――……


多分、このピクミンは○でんくんみたいに死んだら、アジトに戻るシステム。
最初、それを知らないシンタローが食われるキドと何てことなく見守るカノとセトに怒鳴り散らして、大恥をかきます(笑)

そして、シンタローが来るまではカノたちの死の概念というのが凄く薄かったらいいなぁ…って。




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