※CPなし
カノという人間は周りが思っている以上に思慮深い人間である。
それは生まれつきのものなのか、カノの経験がそうさせるものなのか。今ではもう本人すら知るよしもない事実であった。
『子供らしくない』
『大人びていて可愛くないわ』
『あの、人を小馬鹿にしたような目が気に入らない』
『絶対に可笑しいわ』
『あの子、ニコリとも笑わないのよ』
カノが捨てられたと理解したのはその施設に預けられた翌日のことだ。
貴方の両親は少し忙しくて会えなくなっちゃったの、なんて嘘だ。僕、知ってるんだよ?
あの人たちが僕のこと嫌ってたことくらい。
「新しく入ってきた修哉くんです、みんな仲良くしてくださいね。ほら、修哉くん、みんなによろしくは?」
嫌だ、誰がそんなこと。
「カノです、よろしく!」
精一杯の虚勢。
今度は愛されるように。
修哉は笑わないから愛されなかった。捨てられてしまった。
だから、カノは笑うよ。
笑うから、愛して?
笑わなきゃいけない話。
―――――――
愛されなかった修哉じゃないのです、カノなのです。
愛してください。
みたいな