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ずっとずっと前から、貴方だけを見ていた。
嗚呼、俺はどうやったら貴方に近づけるのだろう。
分け隔てのない貴方のその性格が一番遠く、俺を拒むようだった。
そんなのただの錯覚に過ぎなかったわけだが。

「るーっつ?」

ぼふんと後ろからのし掛かってきた細い身体から感じる僅かな体温。
少し低すぎるんじゃないか?
また体調を崩してるんじゃないか?
上げたらキリのない不安が込み上げてきて、誤魔化すように首に回された腕を掴むと引き寄せ、柔らかい銀糸に指を絡ませる。

「…どうしたんだ?」
「ケセセッ!ルッツの背中を独占中!」

気持ち良さそうに頬を寄せるギルベルト。
首に回された腕に力が込められ、肉の落ちた胸板が背中に当たる。

「そうか」
「なんだよ、なんか不満でもあるのかよ?」

短く返してしまったことに拗ねてしまったらしいギルベルトがぐりぐりと頭をぶつけてくる。
そんな仕草すら愛しく感じるのは末期なのか。
今度、それについてのマニュアルでも買ってみようか。
いや、そんなことよりギルベルトにお菓子を作ってやるのも悪くない。
隣に彼がいることがこんなにも俺を突き動かす。
それが何よりも嬉しくて堪らない。

「そうだな、強いていうなら仕事がやり辛いな。それに肩が重い」
「うっ…」

ギルベルトが気まずそうに顔を逸らす。
俺は作成していた資料を保存するとPCの電源を落とした。
そうだ、明日は久々の休日だ。
今日はいつもより早めに休んで明日に備えるのも悪くない。
寝起きの悪いギルベルトが起きる前にギルベルトの大好きなホットケーキを焼いて、お気に入りのメープルシロップを沢山掛けてやろう。
そしたら、寝惚けたギルベルトが一気に目を覚まして、それから掃除をしよう。
それが終わったら買い物をして、二人で並んで歩こう。
可愛いぬいぐるみを一つまでなら妥協してやる。
帰ってきたら、ギルベルトはまずフリードリヒに今日の報告をしてブログをするだろうから、その間に夕食の用意をしよう。
取って置きのヴルストとビール、ローデリヒが焼いたトルテを食べよう。
それからそれから、それからのことは二人で決めよう。
時間はたっぷりとある。

「ギルベルト」
「ん?」
「愛してる」
「ケセッ、俺様も愛してるぜ!」




――――……

うわぁああ
口調わかんねぇ!
ルートがギルベルトを兄貴とか兄さんとか言ってくれない!


――――……






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