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突然ですが、』の続きかもしれない

―――……


進藤と本屋に来ていた。

「…―でさ、千佳が―…」

延々と聞かされるのろけにそりゃもう軽く耳にタコが出来るんじゃないかって。

「あーそうなんだ、うん」

漫画をパラパラと流し読みしながら適当に相槌を打つ。
どうして今日、宮村がいないんだ。
いや、本屋に行かないかって誘ったのは俺だけどさ。

「あ、宮村の」

不意に進藤が顔を上げる。
つられて出入口の方を見ると、見覚えのある紫と赤。
つか、よく気づいたな…と内心。

「…んー…宮村はいないか…」

がっかりしたように進藤が肩を落とした。
宮村好きすぎるだろ。

「あ、進藤、俺ちょっとトイレ行ってくる」
「あーうん、いってらっしゃい」



用を足し終え、手を洗っていると、ぽんっと肩に手を置かれた。

「うわぁっ」

驚き、上げてしまった声に恥ずかしさが込み上げ、慌てて振り向くとそこには目を丸くして固まっている井浦さん(?)がいた。

「ご、ごめん…まさか、そこまで驚くとは、井浦もびっくり」
「えっ、いや、今のはっ!」

あーばかばかばか!
なんで、驚いたんだ!ビビってんだよ!!
先ほどとは比べ物にならないくらいの羞恥心が込み上げ、顔から火が吹いてるんじゃないかってくらいに熱い!

「…?」
「い、まのはっ―…〜〜〜っ!」

困ったように首を傾げながら此方を見つめてくる井浦さんに言葉が詰まる。
というより、その顔は反則ですよ!
嗚呼、もうっ無自覚なんだろうなぁ!

「あ、あのっ―」
「あははっ焦りすぎ!安心して、別に誰にも言わないよ」

耐えきれないとばかりに井浦さんが笑う。
お腹を抱えながら一頻り笑い終わると、よほど苦しかったのか僅かに涙の浮かんだ目尻を拭う。

「い、井浦さん!」

さすがに恥ずかしい。

「ごめんごめん、でも本当に誰にも言わないから」

笑って疲れたのか、へにゃりとその場に座り込むと右手に顎を乗せ、此方を見上げた。

「谷原くんって面白いね」

目を細めながら、妖艶な笑みを浮かべる。
ぺろりと唇を舐める仕草がまるで猫のようで、そういえば井浦さんとも猫の一件で知り合ったのだと思い出した。

「あ、井浦さん―」
「秀ー仙石が飽きたってー!」

今日何度目だろう、言葉を遮られ、扉から顔を出したのはあの紫の人だった。
そうか、一緒に来ていたのか。

「あ、宮村の友達の」

一応、ぺこりと頭を下げておく。
紫の人はすぐに此方への興味を無くしたのか、井浦さんに早く来るように催促し、井浦さんもはいはいと適当に頷くと立ち上がり、膝を伸ばす。
井浦が来ることを確認した紫の人はさっさと行こうとし、思い出したかのように此方に視線を飛ばした。
それは、ぱっと見でも分かるくらい原始的な威嚇だった。
手を出すな、と言わんばかりのそれに視線を逸らすことも出来ず、立ち竦んでしまう。

「秀、」

声に反応しつつも井浦さんは此方を向き、さっきの威嚇に気づいてないのか笑顔を振り撒く。

「じゃあね、谷原くん」
「あ、はい!」

その笑顔と声に緊張が解け、自分でも不思議なくらい声が弾んだ。
その様子に井浦さんは可笑しそうに口元を歪めると、紫の人が見てるというのに足を止めた。

「谷原くん、井浦さんじゃなくて、井浦…か、『秀』でいいよ」
「…っ!!」

紫の人が目を見開き、ばっと井浦さんを睨み付けるも、知らんぷり。

「また、会おうね」

今度こそ、歩みを再会し出ていった井浦さんに思わず、トイレから飛び出すと叫んでいた。

「あ、あのっ俺も、マキオでいいです!また、会いましょう、秀さん!」

驚いたように振り向く井浦さん…秀さんは次の瞬間には笑みを浮かべていて、小さく頷いた。



「え…なに?谷原、トイレで青春してたの?」

あの後、店員にこっぴどく怒られていた俺(秀さんはすでに帰っていた)を慰めたいのか、からかいたいのか、恐らく後者であろう忘れかけていた進藤とファミレスに来ていた。
面白そうに笑う進藤の右側には理解不能とばかりに進藤のジュースにフライドポテトを投入している千佳ちゃんと俺の隣でまたまた進藤のジュースに粉チーズを投入している宮村。
どうやら、俺がいない間に呼び出したらしい。
早く進藤がそれを飲んで吹き出せばいいのにと、熱に浮かされた頭で思った。


当然ですが、

頭の中は貴方で一杯です

―――――……

井浦がちょっと黒い!
そして、仙石が赤とかしか描写なくて、ごめんなさい!
進藤は谷原がいない間に勝手にハーレム作ってました







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