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▽埋もれてしまえ(柳浦)


「そうして、また」


暴力的表現有


……2012/04/30 10:00

パキン。

壊すのは至って簡単だった。
ただ、勇気がほんの少しだけ足りなかっただけ。
決めてしまえば、後はひたすらに壊した。

バキィッ。

単調的な音と共に増す疲労感。
やるせない虚無感。
嗚呼、嗚呼、これはなんて言っただろう。

メキッ。

なんだか、今日はとても外が騒がしい。
何かあったのだろうか。

バキッ。

床に転がっている愛しい緑の子の肩を踏みながら、手を持ち上げる。

バキンッ。

これはまた一段と大きな音が出た。
もはや叫ぶことを止め、ただ虚ろに涙を流すその表情はきっと今まで誰も見たことがないものだ。
その事実がより僕を高揚させた。

「井浦くん」

「ねぇ、井浦くん」

足で胴体を蹴りあげるが、あまりいい反応が得られない。
あれ、どうしちゃったんでしょう。

「井浦くん、井浦くん」

いらいら。
どうしてこっちを向いてくれないんですか?
机の上に転がっていたシャーペンを手に取るとワイシャツを引き裂き、痣の浮かんだ鎖骨の辺りから臍の辺りまで一気にシャーペンを突き立て、走らせる。

ビクンッと確かに彼の身体は痛みに反応した。

だけど、

「なんで、何も話さないんですか?」

今度は目にやろう。
シャーペンを虚ろに開かれた眼球の前にやるけど、全然反応してくれなくて。
ムカついたから、そのまま振り下ろした。

プツン。

こんなものだろうか。

嗚呼、眼球って割れるんですね。
初めて知りました。

嗚呼、そうだ。

いっそ、もう片方の目も潰してしまおう。
僕以外の人を写してしまうような目、もう必要ないでしょう?

「ねぇ、井浦くん?」

振りかざしたシャーペンを振り下ろす。

後、もうちょっとというところで不意に右手が動かなくなる。
これは、

「邪魔しないでください」

石川くんの腕だ。
ちゃんと入れないようにしてた筈なのに、後ろを見ると蹴り破られた扉。
嗚呼、そういうことか。

「お前…いい加減にしろよ」
「何をです?」

からかうように肩を竦めると石川くんの舌打ちが聞こえた。

「ふざけるのも大概にしろ!!お前はっ…!お前がやってるのは、犯罪だ!!」

ガツンと強く頬を殴られ、床に転がる柳を石川は無視するような形で井浦の方へと向かう。
変わり果てた幼なじみ。
奥歯が軋んだ。
俺が、俺が不甲斐ないばかりに。
石川の手がゆっくりと井浦へと伸びる。

「触るな!!」

柳の声が狭い空間に響き渡る。
石川は思わず、手を止めると柳の方を凝視した。

「嗚呼、触るな触るな!そんな汚い手で!嗚呼、井浦くんが汚れたらどうするんですか!僕の井浦くん、僕の僕の大切な井浦くん、全然井浦くんが悪いんです、僕がいるのに他の人と話したり、笑いかけたり、なんでなんでなんで」

「や、やなぎ?」

そこにいたのは、もはや石川の友人ではなく、何かの狂気に取り憑かれた憐れな醜い一人の男で。

嗚呼、俺はまた、救えなかった。

―――――……


病んじゃった柳
井浦はそれの原因が自分だと思って受け入れてたとかだったらいいな
この後、薬により錯乱から戻った柳が自己嫌悪に陥って、井浦を見ると錯乱したり
井浦も井浦で柳を見ると震えが止まらなくなったり、
互いに互いがトラウマになるんだけど
最終的には幸せになってほしいです!

――――……

僕を見てくれない君なんて






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